[II-O-24] 先天性横隔膜ヘルニアの遠隔期肺高血圧~胎児肺容積は予測因子となりうるか~
キーワード:先天性横隔膜ヘルニア, 肺高血圧, 予後
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)では肺高血圧(PH)がしばしば合併し、生後1か月での重症PHは生命予後と関連する。急性期のPH治療が予後を改善したと報告されており、早期に適切な治療を行うことで更なる予後改善が期待される。生命予後の予測因子として胎児エコーのLung to Head Ratio(LHR)、胎児MRIの胎児肺容積が報告されているが、PH予測に関する文献は少ない。
【目的】CHDにおける遠隔期PHの予測因子として、胎児肺容積の指標であるobserved/expected Fetal right lung volume(o/eFRLV)とLHRの有用性について検討すること。
【方法】2006年1月~2014年12月に、出生前診断され当院で治療を行った左横隔膜ヘルニア(LCDH)58例に対し、診療録より胎児期と出生後の臨床情報を後方視的に調査し、o/eFRLV及びLHRと生後1か月のPHとの関連について検討した。PHは肺動脈圧/体動脈圧≧2/3と定義し、心臓超音波検査より得られた三尖弁閉鎖不全、動脈管の血流速度、心室中隔の形態から判定した。
【結果】LCHD 58例のうち、早期死亡7例、データ不十分7例、染色体異常6例(重複あり)を除いた40例で解析を行った。生後1か月でPHありと判定されたのは12例、PHなしが28例、両群間でo/eFRLV、LHR、NO使用・投与期間、人工呼吸器期間、酸素投与期間、手術日、術式、肝脱出に有意差(p<0.05)を認めた。ROC解析によるPH予測は、o/eFRLVでAUC0.900、LHRでAUC0.903と同等であった。また、Cutoff値をそれぞれ0.426(感度88.0%、特異度91.7%)、1.37(感度84.0%、特異度91.7%)とし、Cutoff値未満のPH High risk群、それ以外のPH Low risk群で、生後3か月時のPH治療について解析を行った。o/eFRLV、LHRともにPH high risk群でPH治療ありの頻度が有意に高く(p<0.01)、Low risk群では生後3か月時点でPH治療を受けている症例はなかった。
【結論】胎児肺容積の指標であるo/eFRLVとLHRは、LCDHにおける遠隔期肺高血圧の予測に有用であった。
【目的】CHDにおける遠隔期PHの予測因子として、胎児肺容積の指標であるobserved/expected Fetal right lung volume(o/eFRLV)とLHRの有用性について検討すること。
【方法】2006年1月~2014年12月に、出生前診断され当院で治療を行った左横隔膜ヘルニア(LCDH)58例に対し、診療録より胎児期と出生後の臨床情報を後方視的に調査し、o/eFRLV及びLHRと生後1か月のPHとの関連について検討した。PHは肺動脈圧/体動脈圧≧2/3と定義し、心臓超音波検査より得られた三尖弁閉鎖不全、動脈管の血流速度、心室中隔の形態から判定した。
【結果】LCHD 58例のうち、早期死亡7例、データ不十分7例、染色体異常6例(重複あり)を除いた40例で解析を行った。生後1か月でPHありと判定されたのは12例、PHなしが28例、両群間でo/eFRLV、LHR、NO使用・投与期間、人工呼吸器期間、酸素投与期間、手術日、術式、肝脱出に有意差(p<0.05)を認めた。ROC解析によるPH予測は、o/eFRLVでAUC0.900、LHRでAUC0.903と同等であった。また、Cutoff値をそれぞれ0.426(感度88.0%、特異度91.7%)、1.37(感度84.0%、特異度91.7%)とし、Cutoff値未満のPH High risk群、それ以外のPH Low risk群で、生後3か月時のPH治療について解析を行った。o/eFRLV、LHRともにPH high risk群でPH治療ありの頻度が有意に高く(p<0.01)、Low risk群では生後3か月時点でPH治療を受けている症例はなかった。
【結論】胎児肺容積の指標であるo/eFRLVとLHRは、LCDHにおける遠隔期肺高血圧の予測に有用であった。