第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-03 胎児心臓病学

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胎児心臓病②

Fri. Jul 17, 2015 2:20 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:清水 達雄 (北摂総合病院)

II-P-016~II-P-021

[II-P-016] 胎児期より観察し得た22q11.2欠失症候群15例の胎児超音波所見と臨床経過

白井 加奈子1,2, 川滝 元良2,3, 康井 制洋4, 麻生 俊英5 (1.草加市立病院 小児科, 2.神奈川県立こども医療センター 新生児科, 3.東北大学病院 産婦人科, 4.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 5.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

Keywords:胎児超音波検査, 22q11.2欠失症候群, 胸腺低形成

【背景】22q11.2欠失症候群は,心疾患をはじめ様々な臨床症状・多臓器に渡る疾患を合併し,多科に渡る治療を必要とする症候群である.胎児超音波検査にて,心奇形に加えて胸腺低形成を有している場合,22q11.2欠失症候群が疑われる.
【目的】胎児期より22q11.2欠失症候群が疑われ,出生後に診断が確定した,心疾患合併22q11.2欠失症候群の予後,臨床的特徴を明らかなにすること.
【方法】2005年から2014年に当院にて胎児超音波検査を行い,出生後に診断が確定した心疾患合併22q11.2欠失症候群について,その胎児超音波所見および合併奇形,出生後経過につき,診療録を後方視的に検討した.また各症例における胸腺低形成の程度を,胎児超音波画像におけるthymic-thoracic ratio(TT-ratio; R.Chaoui, Ultrasound Obstet Gynecol 2011)を測定し定量的に評価した.
【結果】各症例とも胎児期より心奇形に加え胸腺の低形成を認め,22q11.2欠失症候群が疑われていた. TT-ratioは平均値0.28(±0.069)となり,過去に論文で示されている正常中央値0.44よりいずれも低値であった。合併心奇形は全てconotruncal anomalyで,8例(53%)と半数以上が肺動脈閉鎖症例であった.大動脈離断は2 例で,2例ともtype Bであった.右側大動脈弓を有する症例は6例(40%)と多く,また鎖骨下動脈の起始異常を4例(27%)に認めた.PA valve absenceの症例は2例とも出生直後より呼吸不全が重篤であり,新生児期早期に死亡していた.9例(60%)は口蓋裂や脊髄髄膜瘤といった心外奇形を有しており,6例(40%)が出生後にカルシウム投与等の治療を要する副甲状腺機能低下症を呈していた.
【結論】22q11.2欠失症候群の胸腺は胎児期より正常児と比較し低形成であることが確認できた.比較的重篤な心疾患を有する症例が多く,胎児期の胸腺低形成から,22q11.2欠失症候群を疑い,様々な合併症への対応も含め慎重に治療計画を進める必要がある.