[II-P-026] 当院における胎児心エコー検査の過去5年間のまとめ
Keywords:胎児心エコー, 胎児診断, 予後
【目的】当院における胎児心エコー検査の現状を知ること。【方法】2009年1月から2014年12月に当院で胎児心エコーを施行した症例の診療録より、母体の特徴、疾患、転帰を後方視的に検討した。【結果】調査期間中に胎児心エコーを施行したのは255例430回。母体年齢は17-50歳(中央値32歳)、最初に胎児異常を指摘されたのは14-39週(中央値28週)、初回施行週数は17-39週(中央値30週)で、22週未満10例(4%)、37週以降17例(7%)であった。胎児心エコーの理由は、心奇形疑い205例(80%)、不整脈16例(6%)、他疾患の心スクリーニング30例(11%)、母体心疾患1例、前児心疾患1例であった。心奇形を疑われた205例の内、正常心は18例(9%)、TOFおよびPA/VSD、IAA/CoA、HLHSが多く、また18トリソミーが18例、13トリソミー6例であった。人工妊娠中絶を選択したのは2例、子宮内胎児死亡(IUFD)となったのは19例(7%)であった。他院での分娩を選択した31例を除き、205例が当院で分娩され、心疾患を理由に計画分娩とされたのは62例(30%)、出生後に要した処置はPGE1投与66例(32%)、BAS 11例(5%)、緊急手術8例(4%)で、緊急手術の内5例はTAPVRであった。over diagnosisも含めて胎児診断と生後診断が異なったのは34例(17%)で、8例が生後にCoA/IAAを認め、2例はCoAでなくIAAであった。TAPVR 5例が生後に診断された。IUFD19例に加え、生後7例、新生児周術期14例、遠隔期12例と計52例(20%)がすでに死亡していた。【まとめ】大動脈弓疾患、肺静脈疾患の胎児診断は依然難しい。IUFD含めて胎児心エコー検査を行った20%が死亡するなど重症疾患が多く含まれており、胎児診断時より予後について慎重にご家族に説明する必要がある。