[II-P-058] 薬剤アレルギーを契機にtwin AV nodeが関与した上室頻拍を呈したFontan術後遠隔期の一例
Keywords:先天性心疾患, Fontan術後, Twin AV node
【背景】Fontan循環において頻脈性不整脈は、循環動態の破綻につながる要因となる。TCPC-EC法を用いても術前に不整脈基質に気づかれないで突然発症する上室頻拍も起こり得る。基礎疾患の形態学的特徴により頻脈の発生機序を考慮した治療が必要である。【症例】形態診断は{I,D,D}、levocardia、共通房室弁、右室単心室、PS。左BT短絡術を経て3歳でTCPC-EC手術を受け、術後経過は良好。インフルエンザの診断でoseltamivir服用後に発疹、黄疸、胸部不快感が出現し、HR 150 bpmの頻拍を認め、紹介入院となった。来院時に血圧、SpO2低下を認め、頻拍停止を試みた。迷走神経刺激法は無効、ATP静注で一旦停止後に再発、verapamil静注で頻拍は停止した。しかし洞調律は持続せず、心房期外収縮、接合部頻拍等の多彩な上室性不整脈を呈したため、verapamil内服をpropranololに変更後HR 90 bpmの洞調律となった。頻拍時の心電図はHR 150 bpmのnarrow QRS tachycardiaで頻拍停止時はQRS波で停止し通常のAVRTとは異なっていた。過去の心電図記録でQRS波の極性が2種類認められた上、頻拍後経過観察中の心電図に記録で同一心電図内にQRS波の極性が上方軸と下方軸が交互に認められた。【考察】頻拍発作の機序として、心電図のQRS波の極性の変化、頻拍停止がQRS波で停止したこと等からtwin AV nodeを含むreentryが強く疑われた。頻拍の停止にはATP・Verapamilが有効であったが、その後に遷延したAPC頻発、接合部頻拍にはPropranololが有効であった。今後、頻拍発作の再発がみられるならばEPSやカテーテルアブレーションの適応を考慮する必要がある。【結語】Fontan手術後遠隔期において、薬剤性アレルギーを契機にtwin AV nodeが関与したと思われる頻拍発作を生じた一例を経験した。