[II-P-059] 非開心術後の房室接合部頻拍の幼児例
Keywords:房室接合部頻拍, 幼児期, 頻拍誘発性心筋症
房室接合部頻拍(Junctional Ectopic Tachycardia: JET)は、比較的稀な先天性JETと開心術後にしばしば認める術後JETに分類される。先天性JETは生後6カ月未満に認める治療抵抗性の予後不良な頻拍とされ、本邦においても胎児期や新生児期に先天性JETと診断された症例報告は散見される。しかし、幼児期の非開心術後JETの報告は少ない。非開心術後のincessant型JETにより頻拍誘発性心筋症を呈した幼児の一例を経験したので報告する。【症例】1歳7ヶ月女児。在胎37週、出生時体重2800g、正常分娩で出生。1歳6ヶ月健診時に異常所見を指摘されず、健診後に食思不振と活気低下を認め、1歳7ヶ月時に近医より当院へ紹介入院となった。房室解離を伴うnarrow QRSの200~220回/分の頻拍と心機能低下(LVEF 37%)を認め、incessant型JETによる頻拍誘発性心筋症と診断した。プロカインアミド投与を開始し、徐拍化するも(170回/分)、接合部調律は持続した。入院2日目よりプロカインアミドに加え、フレカイニド内服の併用を開始。その後も洞調律には復せず、プロカインアミド投与終了後、入院8日目に頻拍(180回/分)を認めたことから、アミオダロン内服の併用を開始した。その後、良好なrate control(120回/分)と心機能改善を得られ、入院19日目に退院としたが、接合部調律は持続した。2歳0ヶ月時に他院にて高周波カテーテルアブレーション治療を施行した。アブレーション治療後も洞調律には復せず、アテノロール内服の併用を開始。その後も接合部調律は持続している。【結語】幼児期以降には少ないとされるincessant型JETに対してアミオダロン等の内服加療にて良好な経過を得た一例を経験したので報告する。