[II-P-066] 小児における非観血的なBrugada型心電図誘発検査の検討
キーワード:Brugada症候群, 運動負荷試験, 経口ブドウ糖負荷試験
【はじめに】Brugada症候群(以下BrS)の診断にはBrugada型心電図(以下BrECG)の確認が必須であるがときに正常化する。さらに同心電図の出現がリスクと関連し、BrECGを顕在化させる誘発試験は重要である。診断には薬剤負荷の有用性は広く認識されているが、さらに日常生活に即した条件での非観血的検査によるリスク層別化は価値ある手段として利用されるべきと日循ガイドラインで述べている。しかし小児での非観血的検査の知見はわずかである。今回BrECGが確認された4名(うち2例をBrsと診断)に対し非観血的検査を行ったので報告する。【症例】a発熱時、b運動負荷試験、c経口ブドウ糖負荷試験、d12誘導Holter心電図とe顔面浸水試験施行時の心電図変化について検討。症例1:9歳男児。無症候性で突然死とBrSの家族歴なし。発熱時に脈不整あり、aでPVCとBrECGを認めた。b、c、eでは変化なくdにて活動時にBrECGを認めた。遺伝子検査結果待ち。症例2:7歳男児。無症候性で突然死とBrSの家族歴なし。学校心臓病検診でBrECG認めた。a、b、cとeは有意な変化なく、dにて夕食時にBrECGを認めた。症例3:8歳男児。無症候性で父方祖父がBrS。学校心臓病検診でBrECGを認めた。a、e施行せず、b、d、eで変化なし。症例4:9歳男児。突然死の家族歴あり。1歳時に熱性けいれんの精査でBrECG認めた。メキシレチン内服中。aでPVCの増加、bで負荷終了後にnon sustained VTを、cでCoved typeの波形増悪を、dではPVCを認めた。eは変化なし。EPSではピルジカイニド負荷でV1,2のCoved typeのST上昇を認めた。ソタロールに変更後の再評価ではaで変化なし、bでnon sustained VTは消失、cでCoved typeの波形増悪を認めなくなった。ICDは植え込まずソタロールで経過観察。SCN5A遺伝子異常あり。【まとめ】今回の検討症例は少ないが、顔面浸水ではBrECGの誘発はなく、食事後や経口ブドウ糖負荷試験での誘発が複数例あった。今後症例の蓄積が望まれる。