[II-P-071] 早産・低出生体重児の先天性完全房室ブロックに対する新生児期pacing治療戦略に関する考察
Keywords:完全房室ブロック, 低出生体重児, ペースメーカー
【背景】早産・低出生体重児(LBWI)の先天性完全房室ブロック(CCAVB)は未熟性による呼吸・循環障害の合併により予後不良で、pacemaker植込み(PMI)時期決定にも苦慮する。【目的】LBWIのCCAVBの自験例を提示し、治療戦略を検討する。【症例1】在胎30週6日、出生体重1624g、胎児水腫(胎児心不全徴候)合併。心拍数50bpmで生後4時間より一時的心外膜pacingを開始。日齢49(修正38週)、体重2470gでPMIを施行。術後は縦隔炎に対する長期管理を要したが、7か月で退院。【症例2】在胎30週2日、出生体重808g、胎児水腫合併。心拍数40bpmで生直後より一時的心外膜pacingを開始。新生児遷延性肺高血圧症も合併した。日齢63(修正39週)、体重1894gでPMIを施行。術後は創部感染や胸水貯留を合併した。慢性肺疾患合併のため5か月で退院するも在宅酸素を要した。【考察】LBWIに対する新生児期PMIでは感染や消化器障害等が多く、合併症は致死的となることがある。また、長期間の体外式pacingは安定性に欠け、感染リスクへの注意が必要である。本2症例は、複数の一時的pacing wireを使用しながら創部管理を行うことにより、体重2000g以上を目安にした長期間の体外式pacingを施行し、新生児期PMIを回避することで、術後合併症は生じたが致死的経過は避けられた。