[II-P-077] 新生児期・乳児期早期に発見された肥大型心筋症の3例
キーワード:乳児, 肥大型心筋症, ミトコンドリア心筋症
【背景】新生児期、乳児期早期に発症する肥大型心筋症は希な疾患である。今回、新生児期・乳児期早期に発症し異なる原因、経過をたどった3例を経験したので報告する。症例1:5ヶ月女児。在胎39週4日、2532g、経腟自然分娩。出生後から哺乳低下、多呼吸を認め、日齢2チアノ-ゼ、徐脈をきたし蘇生されNICUへ搬送。低血糖、高乳酸血症をきたし、ミトコンドリア異常症が疑われた。心エコーでは1ヶ月頃から両心室の心筋肥大を呈し、肥大型心筋症と診断。心不全は進行性薬物治療抵抗性であり5ヶ月時に感染から急性増悪し死亡した。病理では心筋細胞に肥大型心筋症に典型的な錯綜配列などの所見は認めなかった。ミトコンドリア呼吸鎖酵素活性は心筋組織でのみcomplex Iの低下を認め、ミトコンドリア呼吸鎖異常症によるミトコンドリア心筋症と診断した。症例2:2歳11ヶ月男児。胎児エコーで頸部腫瘤を指摘。胎児心エコーを施行し、心拡大、左上大静脈遺残を指摘。在胎38週0日、3540g、吸引分娩。顔貌、後頸部肥厚、停留精巣などよりヌーナン症候群が疑われた。心エコーで心筋肥大があり肥大型心筋症と診断。日齢6より心拍数増加、左室内腔狭小化が顕在化してきた。日齢13に左室流出路圧較差30-40mmHg認め、β遮断薬を開始。左室流出路狭窄、拡張機能は徐々に改善した。遺伝子検査でRAF1変異を認め、ヌーナン症候群に合併した閉塞型肥大型心筋症と診断した。症例3:2歳0ヶ月男児。39週04日、3152g、吸引分娩。胎児期より頚部皮膚余剰を指摘。胎児心エコーでは異常なかった。出生後の新生児診察、心エコー、腹部エコー、頭部エコーに異常なかった。5ヶ月頃より収縮期雑音を聴取し、心エコーで左室心筋の著明な肥大を認め、肥大型心筋症と診断した。β遮断薬で心イベントなく経過している。【結語】新生児期・乳児期早期発症の肥大型心筋症の臨床像は基礎疾患により異なり重篤な経過をたどる症例もあり注意が必要である。