[II-P-096] 成人先天性心疾患におけるバイオマーカー,腎機能,および心不全の予後
Keywords:神経液性因子, 心不全, Brainnatriuretic peptide
【背景】近年では腎機能の低下がACHDの心不全(heart failure: HF)イベントに関与していることが報告されている.循環器疾患のバイオマーカーは先天性心疾患(congenital heart disease: CHD)のHFイベントに関与しているが,腎機能の低下、バイオマーカーと予後の関係を調査した研究は少ない.【目的】腎機能低下,バイオマーカーがCHDのHFイベントの危険因子となりえるか.【方法】エンドセリン(ET)1,ノルエピネフリン(NE),アルドステロン,アンギオテンシン(AT)-II,血漿レニン活性(PRA),BNP,高感度CRP,高感度TNF-α,sTNFR-I,sTNFR-II,IL-6の採血を施行後,経過観察中の心不全増悪による入院と各項目との関連を後向きコホート研究で解析.【結果】104例のACHD患者を対象に平均観察期間は4年であった.登録時にHF入院は24例,慢性腎疾患(chronic kidney disease: CKD)は7例いた.28例(26%)がHFイベントを生じた.HFイベントにCKD,初回HF入院が関与していた.単変量解析では高感度CRP,高感度TNF-α,sTNFR-I,sTNFR-II,IL-6,BNP,NE,AT II,PRA,ET1がHFイベントに関与し,Stepwise法では BNP (調節ハザード比 [95%信頼区間] 2.083 [1.190-3.644], p=0.010)およびNEがHFイベントに関与,初回HF入院およびCKDを共変量とし多変量解析しBNP (調節ハザード比 [95%信頼区間] 2.635 [1.161-5.980], p=0.020)およびCKDがHFイベントと関与していた.【考察/結語】心不全の病態にCKDとBNPが関与していた.