[II-P-097] 小児心臓病におけるトロポニンTの意義
Keywords:トロポニンT, 予後予測, 小児心不全
心筋トロポニンは成人心不全診療において、BNP、NT-Pro BNPに次ぐバイオマーカーとされ、リスクの階層化、予後予測に有用とされている。しかし小児領域ではその意義は定まっていない。
【目的】小児期心疾患での心筋トロポニンT(TnT)値と、予後との関連を検討する。
【対象と方法】2012-2014年にTnTを測定した20歳以下の症例を後方視的に調査した。その中でA群:右心系負荷疾患として心房中隔欠損症(ASD)、Ebstein奇形、B群:左心系負荷疾患として心室中隔欠損症(VSD)、動脈管開存症(PDA)、C群:チアノーゼ心疾患としてファロー四徴症(TF)、D群;心筋症・心筋炎後症例を抽出し、TnT値をコントロールと比較し、左右短絡疾患では、TnT値と肺体血流比(Qp/Qs)、左右心室圧比(RVP/LVP)との相関をみた。また予後(経過中の死亡)との関係を検討した。コントロールは心疾患、肺高血圧症、不整脈、川崎病を除外した症例とした。
【結果】該当症例は110名で、A群32名、B群30名、C群19名、D群22名、コントロール7名だった。それぞれのTnT値(ng/ml)は、0.004±0.003、0.014±0.003、0.011±0.008、0.015±0.023)で、A群,B群ではコントロール(0.002±0.001)と有意差がなく、C群、D群で有意に高かった(p<0.01)。A群,B群ではTnTはQp/Qsとは相関がなかったが、RVP/LVPとよい相関を認めた(A群 r=0.52, p<0.001, B群r=0.86, p<0.01)。
経過中、9名が死亡し、死亡例のTnTは0.036±0.026で、生存例より有意に高値だった(0.013±0.063)。TnTカットオフ値0.015で感度78%、特異度79%だった。
【結語】 小児心疾患においてもTnTは心負荷所見をみる良い指標で、左-右短絡疾患では容量負荷より右室圧負荷によって高値をとった。その他、チアノーゼ、心筋自体の障害で上昇することが示唆された。またTnTは小児心疾患の予後を予測する指標である可能性がある。
【目的】小児期心疾患での心筋トロポニンT(TnT)値と、予後との関連を検討する。
【対象と方法】2012-2014年にTnTを測定した20歳以下の症例を後方視的に調査した。その中でA群:右心系負荷疾患として心房中隔欠損症(ASD)、Ebstein奇形、B群:左心系負荷疾患として心室中隔欠損症(VSD)、動脈管開存症(PDA)、C群:チアノーゼ心疾患としてファロー四徴症(TF)、D群;心筋症・心筋炎後症例を抽出し、TnT値をコントロールと比較し、左右短絡疾患では、TnT値と肺体血流比(Qp/Qs)、左右心室圧比(RVP/LVP)との相関をみた。また予後(経過中の死亡)との関係を検討した。コントロールは心疾患、肺高血圧症、不整脈、川崎病を除外した症例とした。
【結果】該当症例は110名で、A群32名、B群30名、C群19名、D群22名、コントロール7名だった。それぞれのTnT値(ng/ml)は、0.004±0.003、0.014±0.003、0.011±0.008、0.015±0.023)で、A群,B群ではコントロール(0.002±0.001)と有意差がなく、C群、D群で有意に高かった(p<0.01)。A群,B群ではTnTはQp/Qsとは相関がなかったが、RVP/LVPとよい相関を認めた(A群 r=0.52, p<0.001, B群r=0.86, p<0.01)。
経過中、9名が死亡し、死亡例のTnTは0.036±0.026で、生存例より有意に高値だった(0.013±0.063)。TnTカットオフ値0.015で感度78%、特異度79%だった。
【結語】 小児心疾患においてもTnTは心負荷所見をみる良い指標で、左-右短絡疾患では容量負荷より右室圧負荷によって高値をとった。その他、チアノーゼ、心筋自体の障害で上昇することが示唆された。またTnTは小児心疾患の予後を予測する指標である可能性がある。