第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

1-12 自律神経・神経体液因子・心肺機能

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自律神経・神経体液因子・心肺機能

2015年7月17日(金) 13:50 〜 14:32 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:馬場 礼三 (あいち小児保健医療総合センター)

II-P-094~II-P-100

[II-P-098] Fontan術後患者のBNPと高感度トロポニンTの臨床的意義

朝貝 省史, 稲井 慶, 原田 元, 島田 衣里子, 清水 美妃子, 石井 徹子, 篠原 徳子, 杉山 央, 富松 宏文, 中西 敏雄 (東京女子医科大学 循環器小児科)

キーワード:BNP, Troponin T, Fontan

【背景】BNPや高感度トロポニンT(hsTnT)は心不全を評価するbiomakerとして有用とされているがFontan術後患者においてはBNP、特にhsTnTの役割は明らかになっていない。
【目的】Fontan術後患者のBNPとhsTnTの臨床的意義を検討する事。
【対象と方法】2014年1月から12月までにFontan術後の中遠隔期評価目的でカテーテル入院となった59人(APC type35人、LT/TCPC type24人、年齢:中央値19歳(9-51歳)、男性29人、女性30人、術後年数:中央値15.3年(5.3-29.6年))を対象とした。BNPは全例、hsTnTは29人で検査を行い、BNP、hsTnTとNYHA、6分間歩行距離、EF、CVP、房室弁逆流との関係について検討、APC typeはRA volume、不整脈との関係も検討した。
【結果】BNPはLT/TCPC typeと比べAPC typeで優位に高値であった(APC type:100.1±58.6pg/ml、LT/TCPC type:56.5±59.8pg/ml p<0.01)が、hsTnTでは有意差を認めなかった。NYHAはBNPでは有意差を認めなかったがhsTnTで有意差を認めた(hsTnT:1度0.006±0.004ng/ml、2度0.010±0.006ng/ml p<0.05)。またEFはBNPで相関関係を認めなかったがhsTnTで負の相関関係を認めた(r:-0.46、p<0.05)。APC typeではNYHAはBNPとhsTnTで共に有意差を認めた(BNP:1度92.0±59.0pg/ml、2度148.4±23.3pg/ml p<0.01、hsTnT:1度0.006±0.004ng/ml、2度0.016±0.007ng/ml p<0.01)。またAPC typeではBNPはhighCVP(>12mmHg)で優位に高値(81.2±62.9pg/ml vs 114.3±53.7pg/ml p<0.05)、RA volumeと正の相関関係を認め( r:0.49, p<0.01)、不整脈患者で優位に高値であった(不整脈なし:88.1±60.7pg/ml、あり:130.1±41.6pg/ml p<0.05)。EFはBNPで相関関係を認めなかったがhsTnTで負の相関関係を認めた( r-0.54、p<0.05)。
【結論】Fontan術後患者ではBNPとhsTnTとは臨床的意義が異なる。BNPはAPC typeでhighCVPやRA拡大、不整脈により上昇する。hsTnTはFontan患者の心不全のbiomakerとして有用である。