[II-P-105] Heterotaxy syndromeに合併した門脈形成異常の3例
Keywords:門脈体循環シャント, 内臓錯位, 門脈血行異常
【背景、目的】門脈体循環シャント等の先天性門脈形成異常は門脈血行異常症の1つで門脈血が肝臓を経由せずに肺循環、体循環に流入するため、肺循環障害や高アンモニア血症、肝性脳症の原因となる。門脈欠損・低形成を伴う場合もあり、治療には注意が必要である。Heterotaxy、特にPolyspleniaでの合併の報告が散見される。当院で診断、治療したHeterotaxyに合併した先天性門脈形成異常3症例の診断方法・時期、治療、経過等について報告する。【対象、経過】<症例1>1歳、男児。Asplenia、cAVSD、DORV、グレン術後。アンモニア70ug/dl、総胆汁酸38.7umol/Lと共に上昇。CTで門脈体循環シャント(血流方向は、門脈→下大静脈)と診断。シャント血管の閉塞試験では門脈圧13mmHg(閉塞前)→14mmHg(後)と上昇なし。治療はVascular Plugを用いて閉鎖術を行った。術後アンモニア33ug/dl、総胆汁酸3.6umol/Lと共に正常化。<症例2>3歳、男児。Polysplenia、DORV、PS、IVC欠損、TCPS術後。TCPS後のカテーテル検査時に門脈体循環シャント(奇静脈→門脈)と診断。治療前のアンモニア37ug/dl、総胆汁酸4.6umol/Lと共に上昇なし。シャント血管の閉塞試験は行わなかった。TCPCに先行してコイル塞栓術施行。<症例3>4歳、女児。Asplenia、DORV、PA、TCPC術後。TCPC後もSpO2 86%と低く、CTで門脈肺静脈シャント(門脈→肺静脈)と診断。治療前のアンモニア101ug/dl、総胆汁酸225umol/Lと共に上昇。閉塞試験では門脈圧6mmHg(閉塞前)→11mmHg(後)と圧は上昇したが正常範囲内。治療はシャント血管を外科的に結紮。術後アンモニアは52ug/dlと正常範囲内に低下したが、総胆汁酸は18.2umol/Lと低下したもののやや高値であった。【まとめ】Polyspleniaのみならず、Aspleniaでも門脈形成異常の合併を念頭に置く必要がある。シャント血管の閉塞試験を行うことで門脈欠損・低形成を除外し、安全に治療を行うことが可能であった。