[II-P-108] 大動脈弓離断症例の臨床経過に関する検討
キーワード:大動脈弓離断, 大動脈弁下狭窄, 気道合併症
【背景】大動脈弓離断(IAA)は心室中隔欠損症等の先天性心疾患を合併し、しばしば術後に大動脈狭窄(vAS)や弁下狭窄(SAS)を呈し治療に難渋する。また解剖学的特性により術後の反回神経麻痺等の気道合併症を生じやすいとされる。【目的】大動脈弓離断症例の合併奇形、術後経過、合併症及び予後等につき後方視的に検討すること。【結果】対象は当院で手術を施行した46例(男女比29:17)。平均年齢12.0歳(6か月-22歳)。typeA22例、B24例。奇形症候群として22q11.2欠失症候群(CATCH)13例、多脾症1例を認めた。合併心奇形はVSD32例,TGA、DORV、AP window各3例、TAC1例でsimple IAAが2例であった。大動脈弁は4弁1例、3弁24例、 2弁13例、不明8例。 二心室修復が可能であった(2VR)群32例(一期的23例、2期的8例 未到達1例)では大動脈弓修復±VSD閉鎖25例の他Jatene3、Yasui2、Rastelli及びsenning術各1例を施行。vAS、SASを合併し心室中隔の形態等を含めて二心室修復不可能と判断した(1VR)群14例ではDKS吻合もしくはNorwood型手術を行いTCPC適応と判断。TCPC到達は7例(50%)で死亡4例を認めた。術後の大動脈弓再狭窄は両群6例(2VR2例,1VR4例)でカテーテル治療、再手術を施行。2VR術後SASやvASが進行し大動脈弁置換術、 Konno、 SAS解除術を施行した症例は5例で初回診断時の狭窄や弁形態との明らかな因果関係は認めなかった。術後の気道合併症(重複有)として反回神経麻痺14例、気管狭窄13例(外ステント6例、気管切開3例)、横隔神経麻痺11例(縫縮5例)を認めた。とりわけ1VR群の気道合併症は一過性のものを含めほぼ必発であった。【考察】2VR群の予後は良好であったが、16%と高率に術後の左心系狭窄病変を認めた。1VR群の予後は不良でFontan到達への障害として気道病変の合併、術後の血行動態及び解剖学的変化に伴う肺動脈の狭窄、奇形症候群の合併が影響している可能性が示唆された。