[II-P-109] Oligomeganephroniaによる慢性腎臓病を呈した大動脈弓離断複合の1例
Keywords:大動脈弓離断複合, oligomeganehronia, 慢性腎臓病(CKD)
【背景】Oligomeganephroniaは腎低形成の一型であり、ネフロン数の大幅な減少と残存糸球体の代償性肥大を主な組織学的特徴とする。今回我々は、新生児期に循環不全の既往があり、学校検尿で尿蛋白を指摘され、腎生検で二次性のoligomeganephroniaおよびそれに伴う慢性腎臓病(CKD)ステージ3と診断した大動脈弓離断複合の1例を経験したので報告する。【症例】6歳女児。在胎39週、出生2514gで出生し、大動脈弓離断B型・総動脈幹症1型・心室中隔欠損1型を認め、根治術施行予定であったが、ショックおよび急性腎傷害をきたしたため日齢4に肺動脈絞扼術を行った。日齢72に根治術(VSD閉鎖、大動脈形成、右室流出路再建、総動脈弁形成)を施行した。小学校1年生の学校検尿で蛋白尿を指摘され、精査目的に当院を初めて受診した。来院時、尿蛋白(2+)であり腎機能障害(Cre 1.11mg/dl、シスタチンC 1.84mg/l)を認めた。腎病理組織ではネフロン数の著しい減少と、残存する糸球体の肥大、硬化糸球体を認めた。経過から新生児期の循環不全によるnephron lossに起因するoligomeganephroniaおよびそれに伴うCKDステージ3と診断し、CKDに対する腎保護療法や合併症管理を継続している。【考察】Oligomeganephroniaは、病初期には残存する少数の糸球体での過濾過により糸球体濾過率が代償されるが、代償機構が破綻すると進行性の蛋白尿・糸球体硬化をきたし、末期腎不全に至る。本症例は新生児期の循環不全に起因する二次性oligomeganephroniaが、成長に伴い代償できなくなったことにより遠隔期に腎機能障害を呈したものと考えた。循環不全の既往がある児においては本疾患概念を認識した上で腎機能および尿検査を注意深くフォローしていくことが重要である。