第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-13 術後遠隔期・合併症・発達

ポスター
術後遠隔期(大動脈・大動脈弁)

Fri. Jul 17, 2015 2:26 PM - 2:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:秋田 利明 (金沢医科大学)

II-P-107~II-P-111

[II-P-110] 新生児から小児おける大動脈弁疾患に対する治療成績~大動脈弁置換術、ROSS手術、KONNO手術の選択~

前田 佳真, 石井 卓, 中本 祐樹, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 上田 知実, 嘉川 忠博, 朴 仁三 (榊原記念病院 小児科)

Keywords:大動脈弁, ROSS, 人工弁

【背景】小児期の大動脈弁疾患における外科的治療では、体格も考慮にいれ大動脈弁置換術かROSS手術を選択するが、その治療選択については施設間で意見が分かれる。【目的】小児期における大動脈弁置換術(AVR)、ROSS手術、またKONNO法の併用の有無(AVR-KONNO、ROSS-KONNO)による中期的予後を検討する。【対象】2004年1月から2014年12月までの10年間に、当院にて大動脈弁疾患に対して手術を行った10歳以下の症例を対象とした。ROSS手術を施行した19例(ROSS-KONNO:3例)、AVRを施行した15例(AVR-KONNO:4例)を対象とした。【結果】全症例の観察期間は0.3~10.0年(6.5±3.9年)。ROSS群(1.4±3.1才:日齢12~9歳11か月)では周術期合併症は7例に認め、そのうち3例は冠動脈狭窄(2例は月例6)で、2例は心筋保護が不十分であったと思われる心筋障害を合併した(9歳及び10歳)。観察期間中の再介入は7例で要し、右室肺動脈人工導管の交換4例、冠動脈バイパス術2例で、大動脈弁狭窄または閉鎖不全による再介入はなかった。心機能低下は冠動脈狭窄や心筋障害の合併した症例のみで認め、死亡例はなかった。AVR群(7.5±2.9才:日齢25~10歳10か月)では周術期合併症は1例で冠動脈狭窄であった。観察期間中の再介入は5例で要し、再弁置換は2例であった。心機能低下を有する症例はなく、死亡例もなかった。両群のうちKONNO法を併用した7例中2例で合併症を有し、1例は冠動脈狭窄と左室流出路狭窄で複数回の介入を必要とし、1例は冠動脈狭窄であった。【結語】当院での大動脈弁疾患における治療成績は、再介入率も低く抑えられていた。ROSS手術群では合併症がやや多い傾向にあり、乳児では冠動脈狭窄のリスク、年長児では心筋保護などのリスクも検討する必要がある。また、KONNO法併用症例の中期予後は悪くなく、小さい体格の場合でもKONNO手術が有用である可能性があると考えられた。