[II-P-118] RDWは成人先天性心疾患におけるチアノーゼ腎症の経時的増悪を予測する
キーワード：チアノーゼ腎症, 成人先天性心疾患, RDW
【背景】チアノーゼが残存した成人先天性心疾患(CCHD)患者において、チアノーゼに伴う腎機能低下が生じ、予後の悪化をもたらすことが知られている。チアノーゼ腎症の経時的増悪の程度は症例により異なるが、その経時的増悪の危険因子を検討した報告は過去にない。
【対象と方法】当院の成人先天性心疾患外来を受診し、3年以上経過観察されているCCHD患者11例（37.6±7.4才）において、観察期間（5.5±1.1年）におけるeGFRを指標とした腎機能の低下の程度と様々な臨床パラメータ(年齢、心拍数、収縮期血圧、SpO2、Ht、Plt、MCV、MCHC、RDW、TP、Cr、UA、シスタチンC 、BNP)との関連性について多変量解析を用いて検討した。
【結果】対象患者群の原疾患は、アイゼンメンジャー症候群2例、両大血管右室起始症1例、ファロー四徴症1例、修正大血管転位症1例、単心室疾患6例であった。eGFRは観察期間開始時71.7±13.9(ml/min/1.73m2)、終了時68.7±23.3(ml/min/1.73m2)であり、6.3±8.7(ml/min/1.73m2)の低下を認めた。二変量解析では観察期間におけるeGFRの低下の程度と心拍数、SpO2、シスタチンC、MCV、MCHC、RDWとの間に有意な相関を認めた(p＜0.05)。多変量解析においては、eGFRの低下の程度とRDWの間にのみ有意な相関を認めた(p = 0.047)。
【考察】チアノーゼ腎症の増悪の機序として、心機能低下による循環不全や、多血症による血流停滞、血管内皮ズリ応力の増大などが想定されている。RDWと心不全や腎機能障害との関連は過去にも報告されており、RDW高値が、チアノーゼ腎症においても経時的増悪の危険因子である可能性は十分に考えられる。
【結語】CCHD患者における腎機能の増悪にはRDW高値が関与している可能性が示唆された。RDWは近年バイオマーカーとしての重要性が高まりつつあり、チアノーゼ腎症の経時的増悪を予測するうえでも、有用なパラメータとなる可能性が考えられた。
【対象と方法】当院の成人先天性心疾患外来を受診し、3年以上経過観察されているCCHD患者11例（37.6±7.4才）において、観察期間（5.5±1.1年）におけるeGFRを指標とした腎機能の低下の程度と様々な臨床パラメータ(年齢、心拍数、収縮期血圧、SpO2、Ht、Plt、MCV、MCHC、RDW、TP、Cr、UA、シスタチンC 、BNP)との関連性について多変量解析を用いて検討した。
【結果】対象患者群の原疾患は、アイゼンメンジャー症候群2例、両大血管右室起始症1例、ファロー四徴症1例、修正大血管転位症1例、単心室疾患6例であった。eGFRは観察期間開始時71.7±13.9(ml/min/1.73m2)、終了時68.7±23.3(ml/min/1.73m2)であり、6.3±8.7(ml/min/1.73m2)の低下を認めた。二変量解析では観察期間におけるeGFRの低下の程度と心拍数、SpO2、シスタチンC、MCV、MCHC、RDWとの間に有意な相関を認めた(p＜0.05)。多変量解析においては、eGFRの低下の程度とRDWの間にのみ有意な相関を認めた(p = 0.047)。
【考察】チアノーゼ腎症の増悪の機序として、心機能低下による循環不全や、多血症による血流停滞、血管内皮ズリ応力の増大などが想定されている。RDWと心不全や腎機能障害との関連は過去にも報告されており、RDW高値が、チアノーゼ腎症においても経時的増悪の危険因子である可能性は十分に考えられる。
【結語】CCHD患者における腎機能の増悪にはRDW高値が関与している可能性が示唆された。RDWは近年バイオマーカーとしての重要性が高まりつつあり、チアノーゼ腎症の経時的増悪を予測するうえでも、有用なパラメータとなる可能性が考えられた。