[II-P-119] チアノーゼが残存する成人先天性心疾患の突然死の予測因子
Keywords:突然死, チアノーゼ, 成人先天性心疾患
【背景・目的】成人先天性心疾患で自然経過または姑息術は行ったが根治術をしていないチアノーゼ残存症例が存在するが、その突然死についての報告は少ない。当院における突然死症例で検討を行い、予測因子を検討する。【方法】2010~2014年の5年間で、当院通院中の突然死例を診療録から後方視的に検討した。そのうち、チアノーゼが残存する成人先天性心疾患の突然死症例(突然死群)の経過を、年齢と性別を合致させたチアノーゼが残存する生存例を対照群として比較した。SpO2、CTR、Hb、Ht、PLT、尿酸、総ビリルビン、Dダイマー、BNP、過去1年間の心不全入院の有無、不整脈既往の有無、抗不整脈薬内服の有無、受診間隔で検討をした。【結果】5年間で突然死症例は34例(先天性心疾患28例、心筋症3例、不整脈3例)であり、チアノーゼが残存する成人先天性心疾患の突然死は6例であった。年齢は中央値で45歳(21~62歳)、診断はファロー四徴症+肺動脈閉鎖が3例、房室中隔欠損症と修正大血管転位、多脾症にともなう複雑心奇形が各1例であった。対照群(8例)との比較では、中央値でSpO2:78%(突然死群)vs 79%(対照群)、CTR:64 vs 64%、Hb:18.1 vs 19.3 g/dl、Ht:59 vs 57 %、PLT:10.8 vs 11.6万/μl、尿酸:8.5 vs 7.6 mg/dl、総ビリルビン:1.8 vs 1.9 mg/dl、Dダイマー:0.4 vs 0.3μg/ml、BNP:280 vs 350 pg/mlであり、いずれの項目も有意差はなかった。過去1年間の心不全入院の有無、不整脈既往の有無、抗不整脈薬の内服の有無、受診間隔も2群間で有意差はなかった。血小板が正常値以下(15.0万/μl)かつDダイマーが高い2例はいずれも突然死をしていた。Glenn手術後の症例では突然死はなかった。【考察・結論】突然死の予測には血小板値とDダイマー測定が有用である可能性がある。また、Glenn手術後は突然死のリスクが低い可能性が考えられた。今回の検討では症例数が少なく、さらなる検討が必要である。