[II-P-120] 高度チアノーゼを呈したファロー三徴症の成人例
Keywords:ファロー三徴症, 成人先天性心疾患, 肺動脈弁狭窄
【はじめに】近年成人先天性心疾患患者は増加の一途をたどっている。今回我々は高度チアノーゼを呈したファロー三徴症 (PS, ASD, hypertrophic RV) の成人例を経験したため報告する。【症例】47才、女性。体重 45 kg。病歴;21 才時に初めて医療機関を受診し、severe PS, ASD (II) の診断。30 才時に心臓カテーテル検査施行。RV-PA 圧較差 150 mmHg を認め、手術適応と判断されるも手術を拒否。HOT 導入され経過観察。46 才時、頻回に胸痛が出現する様になり、NYHA IV。SpO2 80% 台前半 (room air). 47 才時、心エコー、心臟カテーテル検査、MRI 施行。LVEDVI 62.1 (94%N), LVEF 66.3%, RVEDVI 90.2 (134%N), RVEF 28.3%, T 弁輪 86%N, P 弁輪 26 mm (120%N), P 弁開口部 8 mm, RVp/LVp 0.88, PG (RV-PA) = 68 mmHg, Qp/Qs 0.9, Rp 2.2, PAI 647。手術は PS 解除、ASD 閉鎖予定とした。【手術】胸骨正中切開アプローチ。BCPS が必要になった場合に備え SVC, RPA, azygos vein を剥離。心停止後 ASD (25x25mm) を自己心膜パッチにて閉鎖。P 弁は 3 尖で交連が癒合し、開口部は 8 mm。交連切開にて 20 mm のサイザー (93%N) が通過した。RVOT 縦切開し、繊維化した組織も含め異常筋束を切除し、0.4mm ePTFE パッチにて RVOT 拡大。術中計測にて CVP 15, RVp 49/, Ao 94/47 であった。術後胸痛は消失。術後 16 日目に軽快退院。退院時 SpO2 96% (room air)。術後 2 ヶ月での心エコーでは、MPA flow 1.3 m/s. PR trivial であった。【考察】術前に右室~肺動脈の低形成が懸念されたが、精査にて両者の発育は良好である事が判明し、二心室修復が可能であった。【結語】ファロー三徴症の成人例に心内修復術を行い、良好な結果を得た。