第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-14 成人先天性心疾患

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成人先天性心疾患:チアノーゼ疾患

2015年7月17日(金) 14:20 〜 14:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:坂崎 尚徳 (兵庫県立尼崎病院)

II-P-117~II-P-121

[II-P-121] 成人先天性心疾患患者おけるシスタチンCの有用性の検討

根岸 潤1, 大内 秀雄1,2, 則武 加奈惠1, 佐々木 理1, 宮崎 文2, 山田 修2 (1.国立循環器病研究センター 成人先天性心疾患科, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器科)

キーワード:成人先天性心疾患, シスタチンC, 推定糸球体濾過量

【背景】血清シスタチンC (CysC) は年齢、性差、筋肉量の影響を受けない腎機能マーカーで、心不全患者における予後予測因子であるが、成人先天性心疾患患者 (ACHD) におけるCysCの有用性の検討はない。【方法】2013年4月から2014年12月に当科に入院したACHD患者のうちCysCと血清クレアチニン (Cre) 24時間Creクリアランス(24h-Ccr)を同時に測定した85人 (年齢29.7±8.2歳、男性57.6%、BMI21.13) を対象とした。CysCおよびCreを用いた推定糸球体濾過量(eGFRcys, eGFRcre), 24h-Ccrを算出し比較した。また腎機能と心事故(死亡、心不全および不整脈による入院)について検討を行った。【結果】基礎心疾患は二心室修復術後51%、Fontan手術後35.3%、未修復例13%、Eisenmenger1%。観察期間5.8±4.0か月で7人に心事故(死亡2、心不全2、不整脈3)が認められた。eGFRcre、eGFRcys、24hr-Ccrは互いに相関(r = 0.66 - 0.76, p<0.01)を認め、各々94.6±29.7、89.0±25.0, 79.7±28.1 ml/min/1.73m2で24h-Ccrに比しeGFRcreが平均14.8、eGFRcysが平均9.3高かった(p<0.01)。24hr-CcrとeGFRcreの差はBMIと関連 (r = -0.29, p<0.01) し、年齢、性別、Creとは関連がなかった。24hr-CcrとeGFRcysの差はBMI、年齢、性別、Cre、Cysと関連がなかった。単変量解析でeGFRcre (HR 0.93, 95%CI: 0.89 - 0.97) 、 eGFRcys (HR 0.95, 95%CI: 0.91 - 0.96)、24hr-Ccr (HR 0.92, 95%CI: 0.88 - 0.96) はいずれも心事故を予測した (p<0.01)。eGFRcre≧60 ml/min/1.73m2の患者においてもeGFRcre (HR0.85, 95%CI: 0.75 - 0.96)、eGFRcys (HR 0.92, 95%CI: 0.87 - 0.98)、24hr-Ccr (HR0.92, 95%CI: 0.88 - 0.97)は心事故を予測した。【総括】ACHDにおいてeGFRcreは痩せた患者において腎機能をより過大評価するが、eGFRcysは体格の影響を受けない腎機能評価が可能あった。今回の検討では心事故予測におけるeGFRcysの優位性は確認できなかった。