[II-P-130] 先天性心疾患患児における平均血小板容積と肺高血圧症の関連についての検討
Keywords:平均血小板容積, 肺高血圧症, 先天性心疾患
【背景】平均血小板容積(MPV)は血小板機能を評価する簡便な指標で、新生血小板は容積が大きく凝集能が高い。肺高血圧(PAH)症例では微小血栓形成によりMPVが高値となるが、先天性心疾患での検討は少ない。【目的】先天性心疾患でのMPVとPAHの関連を検討すること。【方法】2010年1月~2013年12月に心臓カテーテル検査を行った非チアノーゼ性二心室先天性心疾患で平均肺動脈圧(mPAP)の測定を行っている218症例において、mPAPなど複数項目についてMPVとの関連性を後方視的に検討した。【結果】mPAP<25mmHgの147症例における年齢間(<1歳、1~5歳、6歳≦)の検討では、6歳≦でMPVが有意に高値で(8.84±0.71fl,9.00±0.65fl,9.76±0.94fl)、非PAHにおいてもMPVに年齢差を認めた。6歳≦ではPAH例が少数のため、<1歳、1~5歳の各群でmPAPを基に四分割し、下位25%と上位25%を比較検討した。<1歳(59症例)の検討では、上位25%(n=15,mPAP最小値54mmHg,最大値78mmHg,中央値60mmHg)で下位25%(n=15,mPAP最小値7mmHg,最大値24mmHg,中央値18mmHg)よりMPVが有意に高値であった(9.39±0.51flvs8.84±0.71fl,p=0.02)。1~5歳(89症例)の検討では、上位25%(n=22,mPAP最小値25mmHg,最大値70mmHg,中央値32mmHg)と下位25%(n=22,mPAP最小値10mmHg,最大値15mmHg,中央値14mmHg)でMPVに有意な差を認めなかった(9.39±1.37flvs9.01±0.42fl,p=0.19)。【考察】PAHでは内皮機能障害により血液凝固や血栓溶解作用が異常をきたし、血小板凝集及び血小板の消費と産生が亢進する。1~5歳でMPVの有意な差を認めなかったのは、加齢によるMPVの増加と上位25%内においてmPAPのばらつきが大きかったことによる影響と思われた。一方、<1歳の上位25%のPAH症例ではMPVが有意に高値であり、先天性心疾患の乳児期PAH症例では血栓形成の活性亢進が示唆された。【まとめ】先天性心疾患の乳児期PAHでは血栓形成促進の指標であるMPVが高値であった。