[II-P-131] 左心系狭窄病変に新生児期より高度reactive PHを合併した2例
Keywords:肺高血圧, 左心系心疾患, 反応性肺高血圧症
【背景】左心系心疾患による肺高血圧症に対しては、原疾患の治療以外に有効性が証明された治療法はない。左心系狭窄病変に高度のreactive PHを合併し、原疾患への介入に加え、肺血管拡張薬により治療した2例を報告する。【症例1】9か月男児。critical AS(V), PH。38週、体重2618gで出生。出生後のUCGでLVEF は10%、Ao archはPDAからの逆行性血流を認め同日PTAV施行、ショック状態から改善。日齢9にPTAV追加しPGE1CD中止可能。エコー上EFEが疑われたがLVEF40%程度まで改善。日齢24頃よりLA拡大、TR増強(圧較差80mmHg)、右心不全出現し、日齢49にPTAVを追加。酸素に加えsildenafil開始。日齢100の心臓カテーテル検査(cath)でPA(m) 50mmHg, PAR16.4単位と高度PH残存。 酸素+NO負荷でPA(m) 28 mmHgまで低下, LA(m)も11 mmHgと著明な上昇は認めず、肺血管拡張薬追加(tadalafil、bosentan、経口PGI2)。生後9か月のcathでLVEF67%と改善。PA(m) 24 mmHg、PAR3.3単位とPHも改善した。【症例2】8歳女児。CoA、NCLVM、PH、Turner症候群。37週, 体重 1672g で出生。HLHS(AS,MS)が疑われたが、PDA、PFOの狭小化に伴いLV径は急速に拡大。日齢25のUCGでsupra systemic PHあり。酸素に加え、経口PGI2開始。生後3か月のcathではCoAの圧較差35mmHg、PA(m)48 mmHg、PAR10.6単位と高度PH。生後5か月CoAに対してPTA。その後PH改善なくbosentan追加。生後9か月のcathでCoAの圧較差14mmHg、PCW(m)19 mmHg、PA(m)40 mmHg、PAR6.6単位とPH残存し1歳時にCoA 解除術。2歳時sildenafil 追加。5歳時のcathではCoAの圧較差なし、PCW(m)15 mmHg、PA(m)53 mmHg、PAR10.3単位とPH残存するが、酸素+NO負荷でPA(m) 20 mmHgまで低下。現在肺血管拡張薬継続中である。【結語】左心系心疾患のPHは原疾患の治療が基本だが、post capillary PHのうちreactive PHの要素が強い例では、肺血管拡張薬療法は有効な治療法となる可能性があり症例の蓄積を要する。