第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

2-01 外科治療

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左室流出路狭窄①

2015年7月17日(金) 14:14 〜 14:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター心臓病センター)

II-P-167~II-P-172

[II-P-170] 先天性大動脈弁上狭窄症に対するthree sinus reconstruction procedure (Myers法)の早期-中期治療成績

岩田 祐輔1, 西森 俊秀1, 中山 祐樹1, 寺澤 厚志2, 山本 哲也2, 面家 健太郎2, 後藤 浩子2, 桑原 直樹2, 桑原 尚志2, 竹内 敬昌1 (1.岐阜県総合医療センター小児医療センター 小児心臓外科, 2.岐阜県総合医療センター小児医療センター 小児循環器内科)

キーワード:大動脈弁上狭窄, 外科治療, 自己組織

【目的】大動脈弁上狭窄症(SVAS)に対する外科治療には様々な手術法が報告されている.当科では3つの冠動脈洞を自己大動脈組織だけで拡大再建し成長が期待できる観点よりMyers法を施行している.Myers法の外科治療成績を検討したので報告する.【患者】2002年4月より2014年12月までにSVAS6例(Williams症候群1例)に対してMyers法を施行した.手術時年齢(中央値) 4.9才(0.25-13.1),体重 19.1kg(4.4-43.5),圧較差 66mmHg(45-75)であった.先行手術としてcritical AS症例(c-AS)に対してPTAV後に大動脈弁形成術(AVP)を施行していた.狭小上行大動脈(n-Ao)に対しては上行大動脈パッチ拡大術(冠動脈洞は自己大動脈組織で補填拡大,上行大動脈のみをePTFEパッチで拡大)(AoP)を同時に行い,3例に対してAVP+AoPを1例(c-AS症例)に,右肺動脈形成術+AoPを1例に,AoPのみを1例に施行した.【結果】術後平均観察期間4.4年(0.7-8.3)で直近のLVFS 0.38(0.38-0.42), LVOT flow 1.30m/s(1.0-1.7), CTR 46.5%(38.7-54.6), RV5 1.65(1.3-2.6)mvであった.病院死亡はなかったが,c-ASがASR(弁性狭窄30mmHg, 大動脈弁逆流(AR) II度)の進行を認め,術後6年でROSS手術を施行した.また,不整脈と考えられる突然死で1例(最年長13才時,圧較差75mmHg)を術後8年で失った.c-AS症例以外では有意な圧較差もARも認めていない. 【まとめ】SVASに対するMyers法の早期-中期治療成績は狭窄解除,ARの回避では満足のいくものだった.遠隔期に不整脈と考えられる突然死で1例を失っており手術介入時期の遅れが不整脈の誘発となった可能性があった. c-ASに対しては治療戦略とAVPの手技に工夫が必要と考えられた.n-Ao合併例の冠動脈洞は自己大動脈組織で再建されており現在のところ狭窄やARの出現を認めておらず自己組織で均等に再建する効果が得られていたが,上行大動脈は補填物を使用しているため今後注意深い観察が必要と考えられた.