[II-P-172] 先天性大動脈弁上狭窄症に対しModified Brom手術を施行した2例
キーワード:大動脈弁上狭窄, Brom technique, Three sinus reconstruction
先天性大動脈弁上狭窄は比較的まれな心疾患であり,Williams症候群として認められることが多い.左室後負荷が高度の場合や冠動脈入口部狭窄を合併する場合には外科的治療の対象となることが多く,外科的治療法としては様々な術式がある.今回我々は大動脈弁上狭窄の2症例に対しModified Brom手術を行い,良好な結果を得たので報告する.症例1:13歳,体重51.6kg,男児.2ヶ月頃より心雑音を指摘され,他院で末梢性肺動脈狭窄として経過観察されていたが,8ヶ月頃より大動脈弁上狭窄を認めるようになり,当院紹介となった.心エコー上,大動脈弁上狭窄が進行し心カテ施行.左室-上行大動脈の圧較差が50mmHg程度であり,心筋負荷シンチで前壁の一部集積低下を認め,外科的治療の方針となった.また妖精様顔貌を認めており,遺伝子検査の結果Williams 症候群と診断された.弁上狭窄はValsalva直上に限局したHourglass型であり,手術は大動脈遮断下にComposite patchを用いてThree sinus reconstructionを施行した.手術時間9時間25分,人工心肺時間244分,大動脈遮断時間189分であった.術翌日に抜管し,術後2日目に一般病棟へ転棟し,術後15日目に自宅退院となった.術後圧較差はなく大動脈弁逆流は術前と変化なく経過している.症例2:6歳,体重28kg,男児.1歳6ヶ月時,心雑音を認め精査,大動脈弁上狭窄と診断された.心エコー上,徐々に狭窄が進行してきたため心カテ施行.左室―上行大動脈の圧較差は44mmHgであり,外科的治療の方針となった.弁上狭窄はValsalva直上に限局したHourglass型であった.手術は大動脈遮断下に一部Composite patchを用いたThree sinus reconstructionを施行した.手術時間7時間25分,人工心肺時間162分,大動脈遮断時間117分であった.術翌日に抜管し,術後2日目に一般病棟転棟,術後19日目に自宅退院となった.術後圧較差は心エコー上10mmHg程度に改善し大動脈弁逆流はtrivialで経過している.