第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム

シンポジウム7
小児大動脈弁疾患の治療戦略

Fri. Jul 17, 2015 8:20 AM - 10:20 AM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
角 秀秋 (福岡市立こども病院)
佐野 俊二 (岡山大学大学院)
Yves d’Udekem(The Royal Children’s Hospital, Australia)

II-S07-01~II-S07-07

[II-S07-04] 小児における大動脈弁置換術;機械弁による人工弁置換術は悪者か?

益田 宗孝1, 町田 大輔1, 合田 真海1, 磯松 幸尚1, 鉾崎 竜範2, 渡辺 重朗2, 河合 駿2, 鈴木 彩代2, 岩本 真理2 (1.横浜市立大学附属病院 外科治療学・心臓血管外科, 2.横浜市立大学附属病院 小児循環器科)

Keywords:小児, 大動脈弁, 人工弁

【背景】小児における大動脈弁疾患に対しては、交連切開術、弁つり上げ術などの弁形成術が第一選択で、形成不能例ではRoss手術や自己心膜による大動脈弁再建手術が選択されるが、いずれにおいても遠隔期に問題を生じない術式はない。人工弁置換手術は人工弁サイズや術後の管理の問題で忌避されてきたが、近年の機械弁の進歩より、大動脈弁置換術を過去の機械弁の遠隔期成績で論ずるべきではない。今回、我々の小児における機械弁による大動脈弁置換術の成績を提示し、弁置換術適応決定の一助にしたい。【対象と結果】(1)1988年~2006年の間に、福岡こども病院または九州大学病院で2葉弁による大動脈弁置換手術を施行された45人を対象とした。手術時年齢は1才~15才(平均9才)であった。弁輪拡大を25例に施行した。手術死亡は1例。平均追跡期間は9.2年(最長19年)であった。累積の人工弁関連合併症非発生率、再手術回避率及び生存率は15年で各々86%、94%、92%であった。(2) 2002年以降、横浜市立大学で先天性大動脈弁狭窄に対して弁輪拡大術併用で最新の2葉弁による大動脈弁置換手術を施行された11例を対象とした。手術時年齢は9才~38才(平均15才)、拡大術式はNicks4例、Manouguian3例、Yamaguchi2例、Konno2例であった。手術死亡及び遠隔期死亡はなく、人工弁関連合併症の発生もなかった。平均追跡期間は32ヶ月(最長117ヶ月)で、最終フォロー時の平均の人工弁圧較差はpeakで28.3mmHg、meanで14.1mmHgで、左室心筋重量は術前の平均206.8gから100.4gまで低下していた。【考察】小児における2葉弁による大動脈弁置換手術は、多くの症例で弁輪拡大手術を必要とするものの、その成績は遠隔期においても比較的良好で、最新の血行動態に優れた2葉弁を用いればprosthesis- patient mismatchも回避できることより、小児における大動脈弁疾患において選択できる治療法と考えられた。