[II-S07-05] 小児大動脈弁疾患に対する術式別外科治療成績
Keywords:大動脈弁, 外科治療成績, 術式
【目的】小児大動脈弁の初回術式別治療成績について検討した。【方法】18歳未満の152例(1982年2月-2015年1月)を対象とした。内訳は, ARに対する弁形成術 (AVP(AR)); 34 (VSD 23, Truncus 8, 単独AR 3)例, ASに対する弁形成術 (AVP(AS)); 40 (先天性AS 27, CoA complex 12, Truncus 1)例, 弁置換術 (AVR); 44 (AR 23, AS 15, ASR, 6)例, Ross手術(+Ross-Konno); 34 (AR 4, AS 15, ASR 15)例。【結果】<AVP(AR)>手術時年齢; 4.9±4.4歳, 体重; 16.9±12.6kg, 観察期間; 14.8±9.1年。術式はTrusler 21, 弁尖延長 3, 穿孔修復 3, 三尖弁化 3, 二尖弁化 2, 交連部形成 2例。死亡3例。10年累積生存率91.1%。大動脈弁関連再手術2例。10年大動脈弁関連再手術回避率92.8%。術後ARは軽度以下が23例, 中等度以上が6例。<AVP(AS)>手術時年齢; 3.6±4.2歳, 体重; 13.4±12.3kg, 観察期間; 12.3±8.7年。術式は交連切開±菲薄化 33, 交連切開+弁下狭窄解除 7例。死亡1例. 10年累積生存率97.5%。大動脈弁関連再手術13例。10年大動脈弁関連再手術回避率65.1%。術後大動脈弁圧格差34.3±22.3 mmHg。<Ross手術>手術時年齢; 8.4±4.7歳, 体重; 25.5±14.6kg, 観察期間; 9.9±4.6年。死亡2例。10年累積生存率94.1%。右室流出路を含む弁関連再手術4例。10年再手術回避率89.2%。Autograftの拡大による再手術1例。<AVR>手術時年齢; 9.9±4.3歳, 体重; 30.0±14.3kg, 観察期間; 16.3±7.1年. 人工弁サイズは20.6±2.1mmで, 弁輪拡大併用27例(61.4%)。死亡2例。10年累積生存率95.2%。大動脈弁関連再手術5例。10年大動脈弁関連再手術回避率87.1%. 再弁置換以外の人工弁関連合併症7例。【結語】小児大動脈外科治療は良好な成績であったが, 多くの術式は姑息的であることを考慮し, 将来にわたる再手術を含めた包括的な治療計画を立てる必要がある。成長という小児の特殊性に対応し得る長期成績の優れた弁形成術を開発することも重要であると思われる。