第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8
小児循環器領域における臨床研究と治験の進め方

2015年7月17日(金) 10:25 〜 11:55 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
中川 雅生 (京都きづ川病院)
三浦 大 (東京都立小児総合医療センター)

II-S08-01~II-S08-07

[II-S08-07] 小児治験ネットワークの活動について-子どもたちに、より安心・安全な医療を提供するために-

栗山 猛 (国立成育医療研究センター臨床研究開発センター 臨床研究ネットワーク推進室)

キーワード:小児臨床試験推進, ネットワーク, 医薬品・医療機器開発

本邦で汎用されている医療用医薬品のうち、添付文書に小児に対する用法・用量が明確に記載されていない、いわゆる「適応外使用」が全体の60~70%を占めているといわれている。しかし、適応症を取得している薬剤のみで治療することは現実的に不可能である。本邦で適応症を取得するためには、厚生労働省に法令上の承認を得る必要があり、そのためには、その医薬品・医療機器の有効性と安全性を評価・検証するための臨床試験(いわゆる治験)の実施が原則必要である。治験は、基本的に製薬企業がスポンサーとなって実施されるが、採算性の低い医薬品・医療機器では積極的に実施されない。特に小児領域では、その傾向が顕著となる場合もある。 小児領域での治験を含めた臨床試験を活性化するためには、小児医療施設等による強固な“ネットワーク”を形成し、ネットワークを通して臨床試験実施体制を整備していくことが必要である。 平成22年11月に日本小児総合医療施設協議会加盟施設を中心に本邦で初めて小児領域に特化した「小児治験ネットワーク」が設立された。この小児治験ネットワークの活動を通して、医療現場が主体となって治験を含めた臨床試験の効率化・迅速化を図り、小児領域での開発が魅力的で容易となる環境とシーズを提供することで適応外使用の解決、小児医薬品・医療機器の早期開発につなげていくことが重要である。 小児領域での開発環境は、欧米に比べると整備が遅れている感は否めない。しかし、様々な施策を通して、本邦でも適正な小児薬物療法に向けての取組みが活発化している。国(行政側)の政策も勿論重要であるが、我々医療現場でも小児医薬品・医療機器開発の推進に向けた基盤作りなど出来ることがあるであろう。 未来を担う子どもたちのために、何らかの“礎”を残していきたいと願っているものである。