[II-S12-04] フォンタン術後遠隔期の心不全病態
Keywords:フォンタン, 心不全, 心肝腎連関
フォンタン術後病態の特色は心血管系に加えて多臓器にわたる多様な術後合併症あるいは続発症を引き起こし、患者のQOLを脅かす要因を併せ持つことにある。遠隔期のその主要な病態に不整脈と心不全があるが、両者には強い相互因果関係が存在するのは他の成人の左室系心機能不全に伴う心不全と類似する。しかし、フォンタン循環に伴う慢性心不全病態は左室系心機能不全に伴う心不全とは異なる特色を有する。一般に、フォンタン循環は肺循環を維持する心室欠如に伴う静脈高血圧、低心拍出量、そして軽度の低酸素血症で特色づけられる右心系心不全と考えられている。フォンタン術後には心室容量負荷が軽減し、低酸素血症が解消されると同時に、前述の特異なフォンタン循環へ順応するため様々な生体のremodelingが徐々に進行し慢性期へ移行する。その特殊な循環への順応変遷過程で様々なfailing要因に遭遇する。蛋白漏出性胃腸症や肺動静脈瘻はそれらの代表的な病態である。近年、長期的なこれらフォンタン循環の異常な病態が齎すこれまでの術後短期から中期では臨床的に問題とならなかった新たな不都合な病態が次第に明らかとなりつつある。これら不都合な病態の中に肝腎両臓器障害に伴う循環系との間に臓器連関病態がある。本シンポジウムでは、フォンタン術後急性期を乗り越え、慢性期を迎えたフォンタン循環にこれら臓器関連に伴うfailing状態である難治性心不全の症例を呈示し、その特色を明らかにすると供に、これら遠隔期の病態を見据えたフォンタン手術後患者のQOL向上のための戦略を探りたい。