[II-S12-03] Fontan術後遠隔期の塞栓性合併症と出血性合併症に関する検討
Keywords:Fontan, 抗血栓療法, 出血性イベント
【背景】Fontan手術後は血栓塞栓症の予防のため抗血栓療法が行われているが、出血性合併症に関する報告はない。
【目的】Fontan手術後遠隔期の出血性・塞栓性合併症の頻度について後ろ向きに検討する。
【方法】2014年に当院成人先天性心疾患外来を受診した106名のFontan術後遠隔期症例(男:女=56:50、Fontan手術年齢=6.5±4.8歳、平均年齢=25.0±5.6歳)を対象に、後ろ向きに出血性イベント及び塞栓性イベントを検討した。各時点でのイベント発生率は人年法で表記し、イベント発生率の推定には、Kaplan-Meier法を使用し、イベント発生曲線の比較にはLog-ran検定を行った。
【結果】原疾患はTA=18、PA/IVS=7、MA=6、DILV=5、Heterotaxia=22、cAVSD=3、ccTGA=4、HLHS=2、その他=39症例であった。Fontan術式は70例が心外導管、31例がlateral tunnel、5例がAPCであった。このうち5例が抗血小板療法のみ、19例が抗凝固療法のみ、78例が抗血小板療法と抗凝固療法の併用を行っていた。また、4例については服薬コンプライアンスが極めて不良であった。併用群で出血性イベントを11例(頭蓋内出血: 3、喀血:3、卵巣出血:2、過多月経:2、十二指腸潰瘍:1)、塞栓性イベントを2例認め、ワーファリン群にも出血性イベントを1例(喀血)認め、出血症例は併用群が10例(6.9例/1000人・年)、ワーファリン単独群が1例(2.6例/1000人・年)であった。併用群と単独群を比較したハザード比は2.51(95%信頼区間:0.66-9.60、p<0.18)で有意差はつかなかったが、併用群で多い傾向がみられた。塞栓症は2例とも併用群であった。
【考察】併用群ではFontan術後遠隔期の出血性合併症は稀ではなく、一方で塞栓症も生じている。
【結論】成人期以降のFontan循環患者の総合的なQOLを高く維持するため、原疾患・術後経過・性別といった塞栓性合併症・出血性合併症のリスク層別化を行い、至適な抗血栓療法を検討する必要があると考える。
【目的】Fontan手術後遠隔期の出血性・塞栓性合併症の頻度について後ろ向きに検討する。
【方法】2014年に当院成人先天性心疾患外来を受診した106名のFontan術後遠隔期症例(男:女=56:50、Fontan手術年齢=6.5±4.8歳、平均年齢=25.0±5.6歳)を対象に、後ろ向きに出血性イベント及び塞栓性イベントを検討した。各時点でのイベント発生率は人年法で表記し、イベント発生率の推定には、Kaplan-Meier法を使用し、イベント発生曲線の比較にはLog-ran検定を行った。
【結果】原疾患はTA=18、PA/IVS=7、MA=6、DILV=5、Heterotaxia=22、cAVSD=3、ccTGA=4、HLHS=2、その他=39症例であった。Fontan術式は70例が心外導管、31例がlateral tunnel、5例がAPCであった。このうち5例が抗血小板療法のみ、19例が抗凝固療法のみ、78例が抗血小板療法と抗凝固療法の併用を行っていた。また、4例については服薬コンプライアンスが極めて不良であった。併用群で出血性イベントを11例(頭蓋内出血: 3、喀血:3、卵巣出血:2、過多月経:2、十二指腸潰瘍:1)、塞栓性イベントを2例認め、ワーファリン群にも出血性イベントを1例(喀血)認め、出血症例は併用群が10例(6.9例/1000人・年)、ワーファリン単独群が1例(2.6例/1000人・年)であった。併用群と単独群を比較したハザード比は2.51(95%信頼区間:0.66-9.60、p<0.18)で有意差はつかなかったが、併用群で多い傾向がみられた。塞栓症は2例とも併用群であった。
【考察】併用群ではFontan術後遠隔期の出血性合併症は稀ではなく、一方で塞栓症も生じている。
【結論】成人期以降のFontan循環患者の総合的なQOLを高く維持するため、原疾患・術後経過・性別といった塞栓性合併症・出血性合併症のリスク層別化を行い、至適な抗血栓療法を検討する必要があると考える。