第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム14
成人先天性疾患に対するカテーテル治療

2015年7月17日(金) 14:40 〜 16:35 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
原 英彦 (東邦大学医療センター大橋病院)
富田 英 (昭和大学横浜市北部病院)

II-S14-01~II-S14-07

[II-S14-01] 成人先天性心疾患患者におけるCo-morbidity

赤木 禎治1, 中川 晃志1, 高谷 陽一1, 笠原 慎吾2, 伊藤 浩1, 佐野 俊二2 (1.岡山大学病院 成人先天性心疾患センター, 2.岡山大学 心臓血管外科)

【背景と目的】成人先天性心疾患のカテーテル治療を実施するうえで、併発症(comorbidity)への対応は極めて重要な意味を持つ。成人先天性心疾患患者では基礎心疾患による心負荷と併発症が互いに関連し、病態の悪化を引き起こしている。成人先天性心疾患のカテーテル治療として最も頻度の高い心房中隔欠損症(ASD)症例において、加齢に伴う併発症頻度、遠隔期予後に関する影響を検討した。【方法】当院でカテーテル治療を受けた50歳以上のASD患者244例について、術前の併発症発生頻度、治療後の臨床経過について検討を行った.これらは成人群(50~59歳:69例),高齢者群(60~74歳:120例)、後期高齢者群(75歳以上:55例)に分類し検討を行った。【成績】SD径(以下それぞれ成人:高齢:後期高齢群、20±8、19±7、19±8mm)肺体血流比(2.7±0.9、2.5±0.8、2.6±0.8)は3群間で有意差は認めなかったものの、心房細動合併(3%、14%、42%)、脳梗塞既往(4%、6%、16%)、心不全入院歴(6%、10%、38%)は加齢とともに有意に上昇した。またBNP値(53±76、94±88、255±271pg/ml)、E/e’ratio(8.0±2.2、8.9±2.9、10.2±3.6)と拡張能低下に伴う心不全増悪の関連も示唆された。これらの症例においてカテーテル閉鎖術後平均36か月フォローアップ期間中に7%の死亡、心不全、脳血管イベントが発生したが、これらイベント発生率は年齢群間で有意差は認められなかった(log-rank test, p = 0.780)。【結論】成人先天性心疾患のカテーテル治療では併発症の管理は治療管理に重要であり、術前・術中の管理のみならず、術後の管理も重要な意味を持つ。成人先天性心疾患のカテーテル治療には循環器内科専門医の関与が必須であり、チーム医療の構築が重要である。ただし、併発症の有無にかかわらすASDのカテーテル治療は有効であり、患者の日常生活の改善、長期予後の改善に寄与することができる。