[II-TRS1-02] 新生児科医が行う胎児診断と臨床心理士の役割
Keywords:胎児診断, 臨床心理, 新生児
東邦大学では平成22年度から小児医療センター(外来)に胎児超音波外来を新設し、週1回の枠で年間100例以上の検査を実施している。心疾患を含む胎児異常が疑われる妊婦に対し検査と面談を中心とした診療をし、ケースに応じた対応が必要となる。検査には、新生児科と産婦人科、超音波検査技師、臨床心理士が毎回同席する。どのような疾患が出生後緊急処置を要するのか、どのような手術がいつごろ必要になるのかの説明も行う。この際心がけているのは、「胎児の病気」ではなく、「病気を持った胎児」として接することである。症例によっては明らかな病児とわかる場合だけでなく、診断結果から、大病院での分娩は必ずしも必要ないと思われるケースも多数ある。説明には図解を多用し、家族が後で見返す際の資料にするだけでなく、同席していない産科スタッフやNICUナースにも後々わかりやすく説明内容が伝わるよう工夫をしている。疾患によっては心臓外科や小児外科、脳外科、麻酔科など複数の診療科にまたがって医療チームを組む必要があることも伝え、我々はその際のコーディネート役を担う。東邦大学での特色は臨床心理士の同席である。妊婦が入院した際にはベッドサイドでじっくりと話を聞き、患者サイドに立った見方ができるため、医療者には伝わりにくい不安や質問を抽出できる。産科医や検査技師の同席は教育的な要素を含み、一次スクリーニングの際の参考となりえる。胎児超音波外来においては医師以外の助産師、看護師、臨床心理士、カウンセラーなど多職種の役割は非常に大きく、その協同も求められる分野でもあるが、より患者家族に寄り添うためにまだ模索している段階と言える。当日は胎児超音波外来の実際を供覧し、忌憚のないご意見をいただきたい。