[II-YB09-01] 乳児期重症心不全に対するBerlin heart EXCOR®の4症例の経験
Keywords:乳児期, 心不全, Berlin heart
【背景】乳児期重症心不全症例へのEXCORの導入は短期間のサポートでは良好な成績が報告されている。しかし、日本では長期サポートが予想され、合併症や周術期管理に工夫を要すると考えられる。当院でEXCORを4例経験したので経過を踏まえ、術後の管理の工夫を報告する。【症例】症例1:DCMの4ヶ月の男児。EXCOR装着時体重(EBW)は4.6kg。心不全の急性増悪で緊急central ECMOを装着。6日後にEXCORを装着した。術前より肝腎機能障害あり、EXCORの脈拍を95回/分と高心拍出状態で管理し、POD4に腹膜透析離脱可能であった。周術期以降の抗凝固療法は抗血小板剤2剤とワーファリン内服(WF)を併用し、PT-INR 2.5~3.0で管理した。POD43に硬膜下血腫を認めたが、神経学的後遺症は認めず。ポンプ交換(PEx)はPOD44、128に行った。ドライブライン感染(DI)は認めなかった。当院退院前は体重が8.5kgまで成長した。POD422に渡航移植となった。症例2:DCMの6ヵ月の女児。EBWは5.9kg。心不全悪化のため当院に転院し待機的にEXCOR装着となった。術前後で肝腎機能悪化なし。WFで、PT-INR2.5であったが、POD57に脳梗塞に伴う出血を認め、WFリバースを行う必要があった。PExはPOD21、160施行。DIはなく神経学的後遺症もなし。POD275で渡航移植となった。症例3:NCLVの1歳2ヵ月の男児。EBWは8.0kg。心不全悪化のため当院に転院となり、待機的にEXCOR装着となった。WFでPT-INR2.5であったが、脳血管障害、PExはなかった。その他臓器障害なく、POD45に国内での移植となった。症例4:DCMの6ヵ月の女児。EBWは4.2kg。乳児期に診断され、緊急ECMO装着となり3日後にEXCOR装着となった。POD13現在、栄養状態不良により人工呼吸管理から離脱困難な状態である。【まとめ】10mlポンプを用いたEXCORの4症例を経験した。長期サポートでは脳血管合併症のリスクを認め、他のデバイス同様、注意深い経過観察を要すが比較的安定したサポートが可能であった。