[II-YB10-03] 小児期先天性大動脈弁狭窄症に対する遠隔成績
キーワード:大動脈弁狭窄症, バルーン大動脈弁形成術, 直視下大動脈弁交連切開術
【緒言】先天性大動脈弁狭窄症に対する初期治療法の選択は重要であるが、これらの選択については施設毎の方針にも影響され、一定の見解を得ていない。【対象】1996年以降先天性大動脈弁狭窄に対し初回治療としてバルーン大動脈弁形成術(BVP)又は直視下大動脈弁交連切開術(OAC)を施行した29例を対象とした。併存心疾患はCoA:7, IAA:2, PA-IVS:2, SV(LI):1。<BVP:17例>介入時年齢:2ヶ月(0日~6歳, 新生児5例, 緊急5例), 術前AS-PG(peak):68±22 mmHg。大動脈輪径: 8.6±2.1 mm。バルーンは原則弁輪径の80%を選択。<OAC:12例>手術時月齢:14ヶ月(3日~7歳, 新生児1例)。術前AS-PG(peak):51±16 mmHg, 大動脈弁輪径: 10.1±4.0 mm。同時手術はEAA: 3, supra AS解除: 3, SAS解除:1, TCPC: 1。【結果】早期死亡なし。術後のAS-PG(peak)はBVP: 35±14 mmHg, OAC:27±19 mmHg。術後AR≧moderate: 2例(BVP:1, OAC:1)。遠隔死亡3例(BVP後2, OAC後1)、累積生存率は87%/15年。AS/ARに対する再介入はBVP群10/17例(Ross:7, 弁尖置換:1, DKS:1, reBVP:1)。OAC群6/12(Ross:2, AVR:2, AV plasty:1, BVP:1)。再介入回避率はBVP群:42%/10年、OAC群36%/10年(p=0.70)。再手術に起因する術前因子は認めかったが、OAC群において術直後にmild以上のARを認めた6例中5例に再手術を要した。遠隔フォローアップ26例の服薬状況は服薬なし:19/26例、ワーファリン内服:3例(AVR後2, Fontan後1)。AVR/Ross回避15例のAS-PG: 29mmHg(8~52mmHg), ARは~trivial:9, mild:4, mild-moderate:2。【結語】先天性大動脈弁狭窄に対するBVPは至適バルーンサイズを順守すれば低侵襲で緊急性を要する新生児乳児には特に有用な治療法であった。一方OAC群においては術後のARを制御する事が再手術回避の上で肝要であり、症例によっては交連機能の再建を主体とした弁形成術の追加も必要と思われた。