[III-P-024] 急性または劇症型心筋炎が疑われ,当院入院となった9例の後方視的検討—診断と予後について—
Keywords:心筋炎, ECMO, 心筋生検
【背景】心筋炎の診断には他疾患の除外が必要となるため,詳細な精査が必要となる.また迅速なECMO適応の判断,導入は良好な予後につながる可能性がある.【方法】2004年1月1日から2014年12月31日までの11年間で,急性または劇症型心筋炎が疑われ,当院入院となった9例につき後方視的に検討を行った.【結果】年齢は2ヶ月~13歳11ヶ月(中央値8ヶ月) .他院からの転院が8例,直接来院が1例であった.症状は発熱,哺乳不良,嘔吐など非特異的であり,心拡大や心収縮能低下,不整脈から心筋炎が疑われた.当院入院後の精査で大動脈縮窄症と診断した症例が2例あり,いずれも同日緊急手術を施行した.その他の7例は急性または劇症型心筋炎と暫定診断した.7例のうち全例でmPSL pulse,IVIGを施行し,5例でECMO管理,1例で完全房室ブロックのためtemtorary pacingを要した.1例は,入院時の心エコーで心尖部のバルーン状拡張・無収縮を認め,心電図の経時的変化,心筋シンチなどから,たこつぼ型心筋症と最終診断した.3例はECMO導入後も頻拍発作(AT,VT)の管理に難渋し,1例で左心耳切除,2例でAblationを施行した.左心耳切除を施行した1例は,心筋生検で心筋炎は否定的であり,tachycardia induced cardiomyopathy(TIC)と最終診断した.予後としては,劇症型心筋炎の1例は,心停止後にECMO導入となったこともあり重篤な低酸素性脳症を呈し,遠隔期に心機能低下し死亡した.それ以外の症例は神経学的後遺症なく,心機能も正常化した.【考察】心筋炎と他疾患との鑑別には,心電図,心エコー,心筋生検などが有用であり,総合的に診断する必要がある.詳細な精査と迅速にECMO導入を行うことで,1例を除き良好な予後が得られた.