[III-P-066] 無脾症候群に合併した比較的稀な感染症2例
キーワード:無脾症候群, 敗血症, 深在性真菌症
基礎疾患として無脾症候群を有する児に合併した比較的稀な感染症を2例経験した。これらの2症例について文献的考察を加えて報告する。【症例1】無脾症候群・完全型房室中隔欠損症・肺動脈閉鎖症・主要体肺動脈側副血行で、Rastelli型心内修復術を施行後の3歳男児。術後に5か月間の心不全に対する入院加療を要し、某年2月下旬に退院した。退院11日後、夜半に発熱出現し午前8時に当院を救急受診。来院時は意識清明であったが末梢冷感と口唇チアノーゼが著明、その後意識障害と呼吸障害が出現した。人工呼吸管理・カテコラミン投与などで治療を行うも状態は更に悪化し、来院後4時間で徐脈から心停止に至った。蘇生に反応せず午後1時に死亡確認。入院時に採取した血液培養検査でStreptococcus mutansが検出され、死因は同菌による敗血症性ショックであると判断した。【症例2】無脾症候群・単心室症・肺静脈閉鎖症でフォンタン型修復術を施行後の2歳男児。先天的に左肺動静脈が低形成で左肺は血流が乏しい。某年2月中旬に発熱あり、画像検査で胸水貯留を伴う左肺炎像を認めた。抗菌薬による治療は無効で、培養からも有意な細菌は検出されず。経過中、血清抗原検査及び胸水PCR法でアスペルギルスが陽性であることが判明、リポソーム化アムホテリシンB(以下L-AMB)を中心とした抗真菌薬投与の治療に切り替えた。投与開始後50日前後から有意な尿量増加・多飲・体重減少が出現、血清・尿浸透圧は上昇なく血中抗利尿ホルモンは異常高値で腎性尿崩症と診断、L-AMB投与を中止した。投与中止にて尿崩症症状は改善、抗真菌薬はイトラコナゾール内服に切り替え肺炎も鎮静化した。イトラコナゾール中止後も肺炎再燃なく、経過観察中である。