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フォンタン循環その他

[III-P-083] グレン・フォンタン術前の肺動脈圧評価は、術後の値をどの程度反映するか？

^○佐藤 有美, 城戸 佐知子, 祖父江 俊樹, 三木 康暢, 雪本 千恵, 古賀 千穂, 亀井 直哉, 小川 禎治, 富永 健太, 藤田 秀樹, 田中 敏克 (兵庫県立こども病院　循環器内科)

Keywords:Glenn, Fontan, pulmonary artery pressure

【背景】グレンやフォンタン型手術の適応を決定する際に、肺動脈圧は重要な指標であり、一般的には術前のカテーテル検査で評価される。しかし一方、グレンやフォンタンの術前後では、Qp/Qsの変化に加え、同時介入の有無により、血行動態も変化する。その状況の中で、術前のカテーテル検査での肺動脈圧評価は、術後の肺動脈圧をどれくらい反映しているのかについて検討した。【対象・方法】2010年～2014年の5年間に当院で、グレン手術を施行した61名とフォンタン手術を施行した32名を対象とし、診療録より後方視的に検討した。なお当院では、術前のカテーテル検査は、全例挿管下全身麻酔管理下に施行している。【結果】平均肺動脈圧(術後は上大静脈平均圧)の平均値(mmHg)は、グレン手術においては、術前カテ14.6、術直後16.0、術後抜管前13.1、抜管後10.8であった。フォンタン手術においては、術前カテ11.9、術直後16.1、術後抜管前13.2、抜管後10.0であった。また抜管後には、上大静脈圧は平均3.1(mmHg)低下した。【考察】グレン手術では、陽圧換気を考慮しても、術前カテの肺動脈圧は術後の値と比較すると高くなる傾向があるのに対し、フォンタン手術では、術前カテの肺動脈圧は術後の値と比較すると低くなる傾向があった。その理由の一つとして、グレン手術ではQp/Qsが低下することが多いのに対し、フォンタン手術ではQp/Qsが上昇することが多く、この血行動態の変化が関与している可能性が考えられる。【結語】グレンやフォンタン手術において、術前カテーテル検査の肺動脈圧データは、単に値だけを見るのではなく、手術での血行動態の変化を慎重に考慮して用いる必要がある。