[III-P-109] 18トリソミーに合併した心疾患に対する手術治療を施行した6症例の検討
キーワード:18トリソミー, 先天性心疾患, 手術治療
18トリソミーに合併した心疾患に対する手術治療を施行した6症例の検討 【はじめに】18トリソミーは21トリソミーに次いで頻度の高い染色体異常で、心奇形はほぼ必発である。心外奇形や精神運動発達遅滞を伴い1年生存率は5~10%と不良であることから、積極的な手術治療は見送られてきた。しかし、VSD、PDA等の先天性心疾患に対し外科的介入により短期的な予後、QOLが改善するとの報告も散見されている。当院においても、家族の希望があり、適応を熟慮したうえで、児が侵襲に耐え得ると判断した場合には手術治療を施行している。【方法】過去15年間で、心内修復術、または姑息術を施行した6例を検討し術後の転帰等につき報告する。【結果】心病変はVSD 6例、ASD 2例、PDA 5例、DORV 1例。他臓器の合併疾患はGER 2例、肝芽腫1例。PDA ligationとPA banding施行例がそれぞれ5例、心内修復術を行ったのは2例(VSD closure),PMI。手術死亡例は認めなかった。退院または転院可能となったのは5例であった。現在生存が確認できているのは2例(7歳と1歳1か月)で、そのうち1例はVSD閉鎖待機中であるが、3例は死亡(2例は心疾患以外による死亡退院、1例は自宅にて突然死)し、1例はフォローから外れ不明であった。患者の出生地は県内3例(うち当院1例)、県外3例であった。【結語】手術群では元来予後良好な症例が含まれる可能性があると指摘されており、その他合併症との兼ね合いもあるため手術適応の検討は慎重であるべきと思われるが、適切な医療介入により転院または退院できる可能性はある。今後も両親の意向を十分尊重したうえで治療方針の選択肢を提示すべきである。また、県内県外問わず他院からの紹介があることから、新生児科、小児循環器科、小児心臓血管外科が揃っている当院の役割は重要である。