[III-P-158] 純型肺動脈閉鎖症に対する新たな治療方針の構築
キーワード:PA/IVS, 右室心筋切除, 肺動脈弁輪温存
【背景】純型肺動脈閉鎖症(PAIVS)は新生児期に治療介入が必要だが、三尖弁や右心室の大きさにより治療方針が異なる。昨今Fontan手術の遠隔成績の不透明さにより二心室治療を目指している一方で、PAIVSの二心室治療の遠隔成績における運動耐用能の低下が報告されており右室機能温存も重要な問題である。【目的】当院では初回姑息術の成績向上のため、肺血流controlのための両側肺動脈絞扼術(biPAB)を先行させ、その後右心室を用いるべく、新生児、乳児期早期より右心室overhaulを施行する方針とし、その妥当性を検討した。【方法】2007年以降新生児期より当院で治療介入したPAIVS症例を対象に治療方法、右室拡張末期容積(RVEDV)の推移、術後経過を評価した。【結果】対象は8例。類洞交通を認めた3例は単心室治療の方針(1例は死亡)。残り5例の内、biPABを2例に施行後、生後30.2日に全例肺動脈弁輪を温存した肺動脈弁切開術、右室心筋切除を施行.(内1例(術前RVEDV 22%Normal、三尖弁輪径(TVD)65.9%Normal)はBT shunt作製、残りの4例はASD部分閉鎖施行。2例に三尖弁形成(TVP)実施)。周術期死亡はないが、2例で肺血流低下のため術後早期にBT shunt作製。術前TVD 84.4%(65.9-109.7%)Normalであり,TVP施行した2例はTVD 70%Normal以上あったが、弁尖から弁腹にかけて癒合を認め、癒合切開し開口部を確保。RVEDVは術前60.2(22-81.6)%Normal→術後(n=4)89.5(48.0-120.1)%Normalであり、RVEFも全例55%以上であった。RVEDV22%→48%Normalの症例は1.5心室治療の方針で、両方向性Glenn術後経過良好。1例は術後PSのためPTPVによる減圧を図り、その後再度右室の成長を認めた。TVP 2例はTR 1°で経過。ASD部分閉鎖 4例の内2例は現在ASD完全閉鎖の予定である。【考察】新生児期・乳児期早期における早期右室心筋切除は、適切な右室機能を保ちながら成長促進させうる方法であり、単心室治療を回避しうる有効な手段になると推察される。