[III-P-160] 当院における総動脈幹症の手術成績の検討
Keywords:truncus, takuji, takuji0510
目的:総動脈幹症は早期から重篤な症状を示し、新生児期あるいは乳児期早期に手術を要する。今回、当院における過去20年間の総動脈幹症の手術成績について後方視的に検討した。対象:当院で1995年~2014年に外科治療を行った総動脈幹症8例を検討した。Collett-Edwards分類では、1型7例、2型1例であり、合併疾患として大動脈縮窄症(CoA)1例、部分肺静脈還流異常症3例に認めた。総動脈幹弁(TrV)は4尖3例、3尖5例であり、そのうちmoderate以上のTrV逆流を2例に認めた(moderate 1例、severe 1例)。結果:新生児期に一期的根治術を施行したのは2例であり、右室流出路再建法は心外導管(Valved pericardial roll、以下VPR)1例、transannular patch(TAP)1例であった。前者は徐々に右室流出路狭窄兼逆流が増悪したため、術後7年でTAPを用いた右室流出路再建を要している。後者は術後16年経過した現在、再手術なく外来経過観察中である。残る6例は、肺動脈絞扼術(PAB)を先行(両側肺動脈絞扼術3例、主肺動脈絞扼術3例)し、1例でCoA修復術を併施し、心内修復時までの死亡は認めなかった。心内修復術の右室流出路再建法は心外導管(VPR)4例、Barbero-Marcial法1例であり、1例はmultiple VSD(4)を認めたためfenestrated TCPCを施行した。3例でTrV形成術を併施し、1例はTrV形成術後にTrV逆流が増強し人工弁置換術後、心不全にて失った。1例はPAB後にTrV逆流による心不全が増強したためにTrV形成術を施行し、術後1年8ヶ月後のRastelli手術の際に再度TrV形成術を併施、術後TrV逆流mildで外来経過観察中である。まとめ:当院における総動脈幹症における外科治療はPABを先行し手術成績が安定した。TrV逆流が非常に強い症例でも、TrV形成術にて救命できた症例も経験した。