[III-S17-02] PA/IVSにおけるRV to Coronary Fistulaeは段階的RV DecompressionによりRegressする
Keywords:PA/IVS, coronary, decompression
【背景】PA/IVSに合併するRV to coronary artery fistulae(CAF)は予後不良因子として知られる。一般にはCAFを有す時点でFontan candidateと言われているが、当院では段階的RV decompressionによりCAFがregressする症例を経験している。【目的】CAFがregressする因子について検討する。【対象】当院にてPA/IVSと診断された91例のうち、RV造影にて逆行性に冠動脈が造影された43症例(47%)をCAFありと定義した。そのうちdefinitive repairに到達できず死亡した症例は10例(23%)であった。生存33例のうち、追跡不能1例、手術待機中2例、術後評価未2例を除く28例を研究対象とした。【方法】28例中CAFがregressした17例(61%)をr群とし、CAF残存11例をC群とし比較検討する。【結果】初回右室減圧術を行った日齢はr:C=37:53であり、C群3例には減圧術が行われていなかった。BASは82%:73%に行われていた。要した手術回数は2.6(0~4):2.9(2~5)、PTPV回数は0.7(0~4):1(0~3)、減圧術前のRVP/LVPは1.28:1.27、%of Normal RVEDVは33:34、% of N TVsize(エコー)は56.3:55.55と両群間の治療回数、術前右室パラメーターに差は認められなかった。しかし最終RVP/LVPは0.26:1.2と有意な差があり、r群で一例のみRVP/LVP=1.43と高圧症例があったが、これはfistulaのligationに成功した症例であった。RVEDVは45:23.4、TVは61:51と、r群の方がRV、TV共に成長する傾向にあった。最終到達手術はBVR11例(65%):0例(0%)、1+1/2repair4例(23%):4例(36%)、TCPC2例(12%):6例(55%)と、r群でのBVR到達率は有意に高かった。【結語】RVのdecompressionに成功した場合CAFのregressが期待できることが示された。まず初回減圧手術でRVP/LVPを等圧たらしめ、以降段階的に右室減圧を図ることにより、CAFをregressさせることは、TCPCを回避する可能性を高めるのみならず、心筋梗塞による突然死の予防に重要である。