[III-S17-06] PA-IVSの外科治療成績の検討
キーワード:PA/IVS, 手術成績, 遠隔成績
【背景】PA-IVSは三尖弁および右室の解剖学的要素と右室冠動脈類洞交通の有無により治療方針が異なる。【目的】最終修復術を終えたPA-IVS症例の術後成績を術式別に比較検討する。【対象と方法】2014年までに当院にて最終修復術を施行した 93例(両心室修復24例:B群、one and a half修復7例:O群、Fontan手術62例:F群)を対象とし、手術成績および術後の循環動態の指標を比較した。初診時の三尖弁輪径の正常比はB群83.7±16.4%、 O群 63.5±23.7%、F群 51.1±15.2%であり、右室冠動脈類洞交通をそれぞれ3例、1例、41例に認めた。術後観察期間は9.6±6.0年。【結果】手術死亡をF群の1例、遠隔死亡をB群の1例に認めた。術後累積生存率は20年で97.6%であった。再手術はB群の2例に肺動脈弁置換を施行した。心エコーでの左室収縮率は3群間で差はなく、中等度以上の三尖弁逆流および肺動脈逆流はB群(17.4%、60.9%)、O群(28.6%、42.9%)に認めた。心臓カテーテル検査での心係数はO群とB群の高度肺動脈弁逆流を認める症例で低い傾向にあった。血中BNP濃度(pg/mL)はB群 30.4±19.0、O群59.7±41.8、F群 24.0±31.6で、O群はF群に比し有意に高値であった(p=0.02)。運動負荷試験での最大酸素消費量(正常比)はB群 87.2±16.6%、O群73.0±18.0%、F群 85.4±15.8%で、O群で低値であり、B群の41%で運動負荷後の心室性期外収縮を認めた。またF群で右室冠動脈類洞交通の残存は血行動態の指標に影響を与えなかった。【結論】PA-IVSの最終修復術の手術成績は術式によらず良好であった。両心室修復群で有意な右心系弁逆流が残存する症例は右室容量負荷に対する治療が必要である。三尖弁および右室サイズが境界領域の症例における術式選択には各術式のさらなる遠隔期成績の検討が必要である。