第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)4
周術期・集中治療における支援-2

2015年7月18日(土) 14:15 〜 15:00 第7会場 (1F シリウス)

座長:笹川 みちる (国立循環器病研究センター)

III-TRO-16~III-TRO-20

[III-TRO-17] Berlin Heart EXCOR を装着した子どもの看護の実際と課題

長谷川 弘子1, 中村 美香1, 平 将生2, 上野 高義2, 小垣 滋豊3, 澤 芳樹2 (1.大阪大学医学部附属病院, 2.大阪大学 心臓血管外科, 3.大阪大学 小児科)

キーワード:小児用補助人工心臓(Berlin Heart EXCOR), 子ども, 看護

【目的】薬事承認前に治験症例として小児用補助人工心臓(Berlin Heart EXCOR)を装着した3事例の看護の経験から、今後の課題を検討する。【方法】2014年1月~2014年11月の期間にEXCORを装着した乳幼児期の子どもの看護を振り返る。尚、倫理的配慮として家族に本研究の目的と内容を説明し、同意を得た。【結果】新たな治療方法の導入にあたり看護の示唆は少なく、1事例目では海外の看護の実際を情報収集しながら、試行錯誤で良好な治療経過をたどれる様に療養上の日常生活支援を行った。その結果、EXCORを装着中に積極的な抑制をせずに安全を確保しながら、乳幼児期の成長課題の達成を支援することができた。2事例目を迎える際には、前例の看護の実際を言語化・意味づけし、看護師が中心となり医師とともに勉強会を実施し、スタッフ全体へ知識の伝達を行った。2事例目では、発達にあわせた療養環境を提供し、家族とともに療養生活をおくれる体制を整えた。この事例では、治療にともなう家族の形態変化、精神的な負担が大きいことが明らかになり、移植へむかう家族の支援が必要となった。3事例目は、長期支援が予想される国内移植の待機症例であり、長期的にわたる療養生活支援が課題であった。これまでの症例と同様に、安全を確保しながら発達課題を達成する支援と、家族への教育・精神的支援が必要となった。【考察】本邦での長期移植待機の現状を鑑みると、待機期間の乳幼児期の子どもの発達は著しく、個々の症例にあわせた工夫が必要である。新たな治療を安全に進めるには、十分な知識をもった看護師が必要である。EXCORの安全な管理と乳幼児期の成長課題の達成は相対するものであり、積極的な抑制をせずに成長を促す支援を実践するには、多くの専門家との知識や経験の共有が必要となり、多職種の連携が求められる。今後は多職種連携が十分に発揮されるような、システム作りが課題である。