第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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JSPCCS-JCC Joint Session

JSPCCS-JCC Joint Session
成人期の川崎病ー動脈瘤と石灰化病変への対策ー

Fri. Jul 17, 2015 4:40 PM - 6:10 PM 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
濱岡 建城 (京都府立医科大学)
中村 正人 (東邦大学医療センター大橋病院)

JJS-01~JJS-04

[JJS-04] 川崎病冠動脈障害合併妊娠への対応

津田 悦子1, 岩永 直子2, 神谷 千津子2, 吉松 淳2 (1.国立循環器病研究センター, 2.国立循環器病センター 周産期科)

Keywords:川崎病, 冠動脈障害, 分娩

(背景)川崎病 (KD) による冠動脈障害 (CAL) 合併妊娠、出産の頻度は少なく、対応に苦慮することがある。(目的)KD-CAL合併出産の対応に関する注意点を明らかにする。(対象・方法)対象は、当院で経過観察中のKD-CAL患者で、2015年3月までに出産した30例、45分娩である。院内出産は25分娩(54%)であった。出産年齢、冠動脈障害、分娩様式、内服薬、合併症について後方視的に検討した。(結果)出産年齢は18~40歳(中央値29歳)で、全例NYHA1度であった。出産後にKD-CALが診断された1例を含む。冠動脈障害は、狭窄性病変(75%以上の局所性狭窄、閉塞、セグメント狭窄)を持つ症例は22例で、うち8例は冠動脈バイパス手術を受けていた。出産時においても、巨大瘤は、狭窄性病変の5例に、拡大性病変5例にみられた。虚血症状はなかったが、ホルター心電図検査で、労作時にST低下のある患者は4例であった。4例にRI安静時血流心筋イメージングで低灌流領域がみられた。左心室駆出率50%未満は1例であった。妊娠中の投薬は22例(73%)で、低用量アスピリン20例、亜硝酸薬2例、カルベジロール1例であった。分娩様式は帝王切開が14分娩で、経膣分娩が31分娩で、うち15分娩に硬膜外麻酔が施行された。帝王切開8例14分娩のうち、1例は妊娠33週で母体の軽度の低酸素血症、1例は妊娠37週で心室頻拍の出現、2例は無症状であったが、ホルターECGにてST低下があった。他の4例は産科的適応によるものであった。心室頻拍症例は36歳初産で、心筋障害のみられた症例であった。(まとめ)虚血所見の有る患者、症状のある患者では帝王切開による分娩で対応した。出産前のホルター心電図検査は分娩様式決定の判断、管理に有用であった。30歳以上の心筋障害のある患者は、周産期において致死的不整脈の出現に注意する。