The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演1-24(I-OR124)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Wed. Jul 6, 2016 2:35 PM - 3:55 PM 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
中山 智孝(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
稀代 雅彦(順天堂大学医学部 小児科・思春期科学教室)

I-OR124-01~I-OR124-08

2:35 PM - 3:55 PM

[I-OR124-01] MRIによる先天性左横隔膜ヘルニアの遠隔期肺高血圧予測

深澤 佳絵1, 早野 聡1, 沼口 敦2, 伊藤 美春3, 齊藤 明子3, 近藤 大貴3, 松沢 要3, 佐藤 義朗3, 早川 昌弘3, 小谷 友美4, 加藤 太一1 (1.名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.名古屋大学医学部附属病院救急・内科系集中治療部, 3.名古屋大学医学部附属病院周産母子センター, 4.名古屋大学大学院 医学系研究科 産婦人科学)

Keywords:先天性横隔膜ヘルニア、肺高血圧、予後

【背景】先天性横隔膜ヘルニアの生後1か月の重症肺高血圧(PH)は生命予後と関連する。前回、先天性左横隔膜ヘルニア(LCDH)に対する遠隔期PHの予測因子として、胎児MRIによる胎児健側肺容積の有用性を報告した。胎児エコーでは、遠隔期PHの予測因子として胎児健側肺容積より全肺容積の方が有用とされているが、MRIで比較した報告はない。
【目的】LCHDにおける遠隔期PHの予測因子として、胎児MRIによる胎児健側肺容積と胎児全肺容積の有用性について比較検討すること。
【方法】2006年1月~2015年12月に、出生前診断され当院で治療を行ったLCDH64例に対し、診療録より胎児期と出生後の臨床情報を後方視的に調査し、observed/expected fetal right lung volume(o/eFRLV)、observed/expected total fetal lung volume(o/eTFLV)と生後1.3か月のPHとの関連について検討した。PHは肺動脈圧/体動脈圧≧2/3と定義し、心臓超音波検査より得られた三尖弁閉鎖不全、動脈管の血流速度、心室中隔の形態から判定した。
【結果】LCHD 64例のうち、早期死亡9例、データ不十分10例、染色体異常6例(重複あり)を除いた43例で解析を行った。生後1か月でPHありと判定されたのは15例、PHなしが28例、両群間でECMO使用、NO投与期間、人工呼吸器期間、酸素投与期間、診断週数、術式、肝脱出、Stomach position、o/eFRLV、o/eTFLVに有意差(p<0.05)を認めた。ROC解析によるPH予測は、o/eFRLVでAUC0.862、o/eTFLVでAUC0.898、Cutoff値を0.395(感度85.7%、特異度73.3%)、0.238(感度92.9%、特異度80.0%)とし、Cutoff未満のPH High risk群、それ以上のPH Low risk群で、生後3か月時のPH治療について解析した。o/eFRLV、o/eTFLVはともにPH high risk群でPH治療ありの頻度が高く(p<0.01)、o/eTFLVのPH low risk群でPH治療を必要とした症例はなかった。
【結論】LCDHにおける遠隔期PHの予測には、胎児全肺容積の指標であるo/eTFLVがより有用であった。