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[I-OR127-03] 他の先天性心疾患に合併した冠動脈肺動脈起始症は生命予後に直結しうる~事前診断に向けての対策~
キーワード:冠動脈肺動脈起始症、BWG症候群、虚血
【背景】冠動脈肺動脈起始症(ACAPA)は先天性心疾患の0.1%を占める稀な疾患であり、他の先天性心疾患合併例は症例報告が散見される程度である。特に肺血流増多疾患を合併する例では、心筋虚血を生じにくく診断は困難である。
【対象・目的】1996~2015年の20年間に当院でACAPAと診断・治療した10例中、合併心奇形を有した3例につき検討することで、ACAPAの事前診断への対策を考案する。
【結果】診断契機は術中診断2例、治療後の病状変化による診断1例であった。《症例1》日齢3に入院した男児。診断はAP window。日齢6に根治術施行。術中にARCAPAが判明し、肺動脈弁のRCA起始部を大動脈側へ残す術式に急遽変更したが術後循環不全となり死亡。≪症例2≫日齢2に入院した女児。診断は総動脈幹症。低出生体重児であり日齢5にbil-PAB施行。術中にARCAPAが判明。体重増加を待ち日齢65に根治術施行。肺動脈から起始したRCAと大動脈の交通を残すように肺動脈を切離し、無事退院。≪症例3≫1歳男児。10か月時にPDAと診断されADO目的に当院紹介。ADOの翌日から全身状態悪化、心機能低下、心筋逸脱酵素上昇、異常Q波出現。エコー再検でALCAPAを疑い、心臓カテーテル検査再検で確定診断。竹内法を施行し退院。
【考察】3例とも肺血流増多疾患であり、術前に心筋虚血所見は認められなかった。ACAPA合併例では原疾患の修復による肺循環の急激な変動が冠循環に影響を及ぼして危急的状況となりうるため、事前把握が求められる。これらの症例を踏まえて、我々は先ずエコーレポートの記入必須項目に冠動脈欄を設けることで、いかなる心疾患においても治療前冠動脈評価の徹底を開始した。
【結語】他の心奇形に合併したACAPAは生命予後に直結しうるため、事前診断の精度を上昇させることが求められる。
【対象・目的】1996~2015年の20年間に当院でACAPAと診断・治療した10例中、合併心奇形を有した3例につき検討することで、ACAPAの事前診断への対策を考案する。
【結果】診断契機は術中診断2例、治療後の病状変化による診断1例であった。《症例1》日齢3に入院した男児。診断はAP window。日齢6に根治術施行。術中にARCAPAが判明し、肺動脈弁のRCA起始部を大動脈側へ残す術式に急遽変更したが術後循環不全となり死亡。≪症例2≫日齢2に入院した女児。診断は総動脈幹症。低出生体重児であり日齢5にbil-PAB施行。術中にARCAPAが判明。体重増加を待ち日齢65に根治術施行。肺動脈から起始したRCAと大動脈の交通を残すように肺動脈を切離し、無事退院。≪症例3≫1歳男児。10か月時にPDAと診断されADO目的に当院紹介。ADOの翌日から全身状態悪化、心機能低下、心筋逸脱酵素上昇、異常Q波出現。エコー再検でALCAPAを疑い、心臓カテーテル検査再検で確定診断。竹内法を施行し退院。
【考察】3例とも肺血流増多疾患であり、術前に心筋虚血所見は認められなかった。ACAPA合併例では原疾患の修復による肺循環の急激な変動が冠循環に影響を及ぼして危急的状況となりうるため、事前把握が求められる。これらの症例を踏まえて、我々は先ずエコーレポートの記入必須項目に冠動脈欄を設けることで、いかなる心疾患においても治療前冠動脈評価の徹底を開始した。
【結語】他の心奇形に合併したACAPAは生命予後に直結しうるため、事前診断の精度を上昇させることが求められる。