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[I-OR203-02] Jatene術後の遠隔成績と術後合併症 ―肺動脈狭窄、大動脈弁逆流― に対する検討
キーワード:Jatene手術、大動脈弁逆流、肺動脈狭窄
(背景)近年Jatene手術後の合併症として大動脈弁逆流(AR)が報告されている。当科ではValsalva洞の形態変化を来たさないような冠動脈移植手術の工夫をしてきた。今回Jatene手術遠隔期成積と術後合併症としてのAR、肺動脈狭窄(PS)について後方視的検討を加え報告する。(方法)1993年1月から2015年12月までの23年間に当科で初回手術を行ったTGA-IVSおよびTGA-VSD 125例を対象とした。冠動脈の移植は原則としてほぼ全例trapdoor法で行ったが、その際Valsalva洞に切り込まないように細心の注意を払った。肺動脈の再建はLe Compte法を行い欠損部は自己心膜で補填した。(結果)対象はTGA-IVSが87例、TGA-VSDが38例の計125例。男女比は88:37であった。冠動脈形態は単冠動脈が10例(8.0%)、Intramural typeが5例(4.0%)。平均観察期間は113ヶ月。単冠動脈に対しAubert-Imai手術を行った1例が術後11カ月で不整脈のため死亡した。術後93例でカテーテル検査を行い、20mmHg以上のPSをきたした症例は24例(26%)あり、形態的なPSも含めカテーテル治療を要した症例は26例(20.8%)。3例(2.4%)はカテーテルインターベンションのみでは十分な狭窄解除ができず手術介入が必要であった。ARはmild(I-II度)が13例(10%)、moderate(II-III度)が1例(0.8%)であり、111例(89%)が逆流を認めない(0度)か、trivial(I度)であり、術後ARの進行を認めた症例や手術介入を必要とした症例はなかった。(結語)冠動脈を移植する際にValsalva洞の変形を来たさないよう、commissure上部にtrapdoor切開を留めることにより、術後のARの発症と進行を予防することが可能であった。またPSに対してはほとんどの症例でカテーテルインターベンションによる狭窄解除が可能であった。