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[I-OR203-04] 学童期の修正大血管転位症に対する段階的肺動脈絞扼術による左室トレーニング後ダブルスイッチ手術の検討
キーワード:修正大血管転位症、肺動脈絞扼術、ダブルスイッチ手術
【背景】解剖学的根治が望める修正大血管転位症に対してはダブルスイッチ手術(DSO)を行うことができるが、解剖学的左心室の機能が体循環を担うに十分でない症例ではDSOの前に肺動脈絞扼術(PAB)による左心室トレーニングが必要である。近年、修正大血管転位症に対して、DSOによる解剖学的根治術の良好な長期遠隔成績が報告されてきているが、高年齢はDSOの危険因子であり、DSO適応に到達しない症例も多い。
【目的】学童期に段階的PABを行い、DSOを施行し得た3例を対象とし、PABによる心機能(EF)、左室圧の変化(LVp/RVp)を検討した。
【症例1】13歳男児、c-TGA。初回PAB前はEF 65%、LVp/RVp=0.32であった。7歳で初回PABを行い、PAB後のLVp/RVp=0.66とさらなる左室トレーニングが必要であり、12歳時に2回目のPABを施行。LVp/RVp=0.9となり、心機能も良好のためDSOを施行した。
【症例2】11歳女児、Dextrocardia, c-TGA with VSD and TR。初回PAB前はEF 73%、LVp/RVp=0.26であった。3歳で初回PABを行い、LVp/RVp=0.62と上昇し、9歳時の2回目PABにてLVp/RVp=1.1となり、DSOを施行した。DSO後心機能の低下(EF 38%)を認めた。
【症例3】16歳男児、Dextrocardia, c-TGA。初回PAB前はEF 61%、LVp/RVp=0.28であった。12歳で初回PABを行い、LVp/RVp=0.53と上昇し、16歳時の2回PABにてLVp/RVp=1.2となり、心機能も良好のためDSOを施行した。
【結果】3例ともに段階的PABにてDSOまで到達した。6ヶ月~11年のフォローで全例生存している。
【結語】学童期の修正大血管転位症に対し、段階的PABを経由してDSOに到達することができた。学童期でのDSOは困難と言われてきたが、段階的PABにより左室圧が上昇し、心機能が十分に保たれれば、DSOは十分に可能であった。今後のさらなる症例数の経験と長期成績の検討が必要である。
【目的】学童期に段階的PABを行い、DSOを施行し得た3例を対象とし、PABによる心機能(EF)、左室圧の変化(LVp/RVp)を検討した。
【症例1】13歳男児、c-TGA。初回PAB前はEF 65%、LVp/RVp=0.32であった。7歳で初回PABを行い、PAB後のLVp/RVp=0.66とさらなる左室トレーニングが必要であり、12歳時に2回目のPABを施行。LVp/RVp=0.9となり、心機能も良好のためDSOを施行した。
【症例2】11歳女児、Dextrocardia, c-TGA with VSD and TR。初回PAB前はEF 73%、LVp/RVp=0.26であった。3歳で初回PABを行い、LVp/RVp=0.62と上昇し、9歳時の2回目PABにてLVp/RVp=1.1となり、DSOを施行した。DSO後心機能の低下(EF 38%)を認めた。
【症例3】16歳男児、Dextrocardia, c-TGA。初回PAB前はEF 61%、LVp/RVp=0.28であった。12歳で初回PABを行い、LVp/RVp=0.53と上昇し、16歳時の2回PABにてLVp/RVp=1.2となり、心機能も良好のためDSOを施行した。
【結果】3例ともに段階的PABにてDSOまで到達した。6ヶ月~11年のフォローで全例生存している。
【結語】学童期の修正大血管転位症に対し、段階的PABを経由してDSOに到達することができた。学童期でのDSOは困難と言われてきたが、段階的PABにより左室圧が上昇し、心機能が十分に保たれれば、DSOは十分に可能であった。今後のさらなる症例数の経験と長期成績の検討が必要である。