9:45 AM - 10:45 AM
[I-OR203-06] 当院における若年者の大動脈弁温存大動脈基部置換手術の検討
Keywords:自己弁温存大動脈基部置換、David手術、大動脈弁逆流
【背景】小児における大動脈基部拡大は稀であるが、マルファン症候群(MFS)をはじめとした結合組織疾患に合併する事が多い。これに対して大動脈弁置換を避けるために、大動脈弁温存大動脈基部置換(VSARR)が考慮される事がある。しかし、術後進行する大動脈弁逆流から結果的に再手術・大動脈弁置換術に至る症例もある。そこで、我々は若年者における術前の大動脈弁逆流と再手術等の関係について検討した。【方法・患者】対象は1999年から2015年まで当科で経験された20歳以下のVSARRの18例。平均観察期間は6.0年(0.1~13.4年)。手術時平均年齢は15.2歳(4~20歳)、男児13例、女児5例。MFSが16例、Loyes-Dietz症候群(LDS)が1例であった。平均大動脈弁輪径25.7mm、平均Valsalva洞径53.8mmであった。【結果】手術死亡はなく、遠隔期死亡が1例(遠位下行大動脈瘤破裂)であった。術後3年大動脈弁逆流(AI)(3度以上)回避率は88%、5年AI回避率は70%、10年AI回避率は70%であった。5年大動脈弁置換術(AVR)回避率は90%、10年AVR回避率は60%であった。死亡例を除いた17例を、術前にAIが1度以下であった群(n=9)と2度以上あった群(n=8)の2群に分け、術後3度以上AI回避率、AVR回避率を比較検討したが、有意差は認めなかった。(p=0.34, p=0.28 Log rank test) 同様に術後AIが2度以上あった群(n=4)と術後AIが1度以下の群(n=13)を比較検討した所、術後3度以上AI回避率で有意差を認めた。(p=0.0082 Log rank test)【結論】若年者におけるVSARRの手術成績は比較的良好であったが、術後AIが2度以上ある群ではAIの進行が早い可能性が示唆される。術前AIが軽度のものでも術後AIの進行ならびに再手術の可能性があり、注意深い観察が必要である。