The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム1(I-S01)
Berlin Heart導入後の小児重症心不全治療と心臓移植

Wed. Jul 6, 2016 8:40 AM - 10:10 AM 第A会場 (天空 A)

座長:
福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)
鈴木 孝明(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

I-S01-01~I-S01-07

8:40 AM - 10:10 AM

[I-S01-02] 我が国の心臓移植の現状と展望

福嶌 教偉 (国立循環器病研究センター 移植医療部)

改正法施行後、15歳未満の小児からも脳死臓器提供が可能となり、我が国でも小さな体の小児の心臓移植が可能になった。改正後、2016年2月末までに14例の18歳未満(15歳未満11例)のドナーから10件心臓移植が行われ、全て小児に移植された。成人からの移植例を含め、これまで国内で17名の小児心臓移植が行われたが、移植後10年以内の死亡例はなく、成績は良好である。待機期間は、小児ルールのお陰で1年以内の症例も多いが、3例は800日以上である。そのため、待機中に左心補助人工心臓(LVAS)の装着を要する症例も漸増しており、体格の大きな小児では積極的に埋め込み型LVASを装着して、待機中・移植後のQOLを向上させる試みが必要となっている。
一方、日本小児循環器学会の全国調査では、毎年30-50例の心臓移植適応患者が報告されており、ドナー不足は成人に比べて更に深刻である。代表的な適応疾患は、拡張型心筋症、拘束型心筋症である。また、Berlin Heartは治験を修了し、2015年8月に保険収載された。18例が装着され、良好な成績(国内2例、海外6例移植、10例待機中)を挙げているが、心臓提供可能な6歳未満のドナーが未だに3例であること、医学的緊急度2で移植の必要となる拘束型心筋症が多いことから、2014年には再び海外渡航心臓移植患者が増加に転じており、国内での小児臓器提供をいかに増やすか、国レベルでの対策が必要である。
これまで小児期に心肺同時移植を受けた症例はないが、国内で施行された心肺移植者は、両大血管右室起始のEisenmenger症候群と18歳未満で高度肺高結になった拘束型心筋症であり、小児循環器医の関わりは大きい。また、左室低形成に伴う肺高血圧の小児3例が国内外で心肺同時移植準備中に死亡しており、我が国においても小児心肺同時移植の体制整備も必要である。