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[II-OR102-02] 胎児診断後から家族の苦悩が始まる-13/18トリソミーの治療方針決定のプロセス
キーワード:13トリソミー、18トリソミー、胎児診断
【背景と目的】近年、13/18トリソミー(13/18T)の手術例や在宅移行例が報告されている。13/18Tの胎児診断例では、出生まで家族が治療方針について悩む場合も多く、一旦治療方針を決めても、出生後変化することも経験される。胎児診断された13/18T(疑いを含む)の治療方針決定のプロセスについて検討する。【方法】2013年1月~2015年12月に、当院で胎児期からフォローされた13/18Tを対象とし、診療録から後方視的に検討した。【結果】対象は12例(13T 1例、18T 11例)。母体年齢 平均33歳、初産 9例。初診週数 平均26週。13/18Tの出生前診断 8例(全例22週以降)。IUFD1例(32週)。胎児心エコー(レベル2)は平均32週で施行し、VSD 8例、CoA/VSD 1例、CAVSD 2例、HLHS variant 1例。胎児診断後、家族への説明は主として産科が行い、必要に応じ新生児科(出生前訪問8例)、小児脳神経外科(2例)も行った。心疾患の説明は胎児心エコー施行後に小児循環器医が行い、心疾患に加え13/18Tについても説明した。繰り返し説明を行うことで、家族の疾患に対する正確な理解を促した。出生前の家族の意思は、(1)手術を含む積極的治療 3例、(2)積極的治療希望なし 5例、(3)出生時の状態を見て決定 2例、(4)不明 2例。平均出生週数/体重は、38週/1.8kg。胎児診断後から出生までの期間は、平均9週であった。家族の意思の変更は、(3)から(1)の2例であった。人工呼吸器装着は4例。侵襲的治療はPAB 3例、経皮的腎瘻形成術 1例、脊髄髄膜瘤修復術1例(重複含む)。在宅移行は3例で可能であった。【考察と結論】13/18Tでは未だ定まった治療方針がなく、合併疾患や家族背景に合わせ症例ごとに治療方針を決定する必要がある。医療者は、正確な情報を繰り返し説明することで、疾患に対する家族の理解を深め、また十分な検討時間を準備せねばならない。医療者には『患児の最善の利益』を踏まえつつ、家族が決定した治療方針を尊重する姿勢が求められる。