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[II-OR115-03] 乳児期開心術後急性期うっ血性心不全に対するトルバブタンの有用性
Keywords:トルバブタン、開心術後うっ血性心不全、乳児期
【背景】乳児期開心術後のうっ血は呼吸をはじめとする全身状態および術後経過に大きな影響を及ぼす。うっ血に対しループ利尿剤による強制利尿は時に脱水を引き起こす。トルバブタンはバゾプレッシンV2受容体拮抗薬で電解質排出をきたさず自由水を引くと言われているが、乳児期開心術後における使用報告は少ない。【目的】乳児期開心術後のうっ血に対するトルバブタンの有用性を検討すること。【対象】対象は2013年以降の乳児期(1歳まで)に開心術を行い、通常のループ利尿薬で十分利尿を得られなかった15例。複雑心奇形は除外した。主診断はVSD9、TOF3、cAVSD2、ASD1。Down症候群7、PH9。手術時平均月齢は4.5±3.2か月、平均体重は5.4±2.0kg。投与プロトコールは術後3日目頃からループ利尿剤(内服・点滴併用)を使用し数日観察、効果が少ない場合にトルバブタンを追加する方法とした。投与回数はランダムに1回ないしは2回。投与は基本1日1回ICU滞在中とし、投与前後の尿量、血行動態、電解質などに加え有害事象がないか検討した。【結果】術後平均5.9日目に投与開始、投与量は平均0.20mg/kg。1回目投与による尿量は8時間、24時間ともに有意に増加した(8時間20.1→31.2ml/kg、24時間57.6→72.0ml/kg)。ただし、全く効果のなかった症例も散見された(6例/15例)。また、2回目の投与では12例中7例効果なく、平均尿量も有意に増加しなかった。一方、投与前後での血行動態(血圧・CVP・脈拍)、電解質(Na)などに有意な変化は見られず、有害事象も見られなかった。【結語】乳児期開心術後のうっ血性心不全に対し従来のループ利尿剤に加えトルバブタンを併用し、平均尿量の有意な増加は見られた。しかし、効果のない症例も見られ、また複数回投与による効果も多いとは言えなかった。まだ検討数が少なく効果のあるファクターは解析上明らかではなかったが、有害事象もみられていないため、暫く継続して使用する予定である。